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差し迫った用事の何にもないことが、こんなに嬉しい週末。『さよなら、サイレント・ネイビー ――地下鉄に乗った同級生』と『アートを書く!クリティカル文章術 (Next Creator Book)』を半分くらい読んで、後ははてなと世界フィギュア。
織田信成が早々と脱落し、ジュベールは磐石、ランビエールも順位は捨てていた(?)中で、後は高橋大輔が何位に入るか、という以外はあまり勝負としての見所はなかった男子シングルに対して、女子は予選から見所満載。安藤や中野に期待していなかったわけではないけれど、私にとっての今回の世界フィギュアは、なんといっても浅田真央対キム・ヨナの勝負に尽きた。
腰痛で不調であることを期待されていたようなキム・ヨナのショート・プログラムはパーフェクト。ところが、浅田真央は、これまで危なげなく完璧にこなしてきたはずのショートで、まさかのミス。しかも、キム・ヨナに10.63もの差をつけられての試合後のインタビューで「明日は200点取って優勝する」との発言は、いかにも空元気に見えて、勝てなかったときの傷を広げるだけなのではないか、と暗い気持ちになったのだった。
翌日のフリーは、一人滑り終わるたびに主役が入れ替わるという、テレビ局もここまでは狙ってなかっただろうという劇的な展開。優勝候補者以外で、まずは魅力的な滑りを見せたのは中野友加里。この人の演技を見ると、「やれることをきちんとやる」誠実な演技の良さを感じる。野の花の美しさ。おばさん顔のエミリー・ヒューズの演技が、この日は良かった。難易度がそんなに高くないのか、点数は低かったけど。男子のトマシュ・ベルネルに続いて台風の目になるかと思われたカロリーナ・コストナーは、惨敗。この人も、一年で面立ちがすっかり大人になったなあ。終わってみれば4位につけていたキミー・マイズナーは、頑張り屋さんらしい結果を得た。上位の常連なのに、今回全く映らなかったジョアニー・ロシェットは、どこで何をやってたんでしょう?
優勝候補の最初の一人として登場したキム・ヨナ。彼女の「妖艶」と評される要因は、あの目線によるところが大きいということに気づく。半分まぶたを閉じて、カメラと斜めに向き合ったときのまなざしは、むしろ邪眼に近いものがある。魅了される演技だ。間違いなく。それでも、あの、氷上で見せるしたたかさには、多少辟易する。
と思っていたら、転倒2回。プレッシャーに負けるタイプには見えないので、やっぱり体調が万全ではなかったのかな。グランプリ・シリーズでも一度、後半にジャンプが崩れることがあったような気がするので、あまりスタミナがないのかもしれない。それでも、他の選手とは土台が違うことを見せつけて、ここまでの選手の中では1位をキープする。
キム・ヨナのミスでぐっと楽になったところで、真打ちの浅田真央登場。最初の3回転半を成功させると、後は尻上りに波に乗ってゆく。楽曲のチャールダーシュは、後半何度も波がやってくる構成で、その波に合わせてジャンプが被さる。頂点で3-2-2のジャンプが決まると、もう勝利がそこに見えている。真央ちゃん号泣。「昨日自分で(勝つって)言っちゃったので...」インタビューでも言葉にならない。自分で退路を断って、自分との賭けに勝った16歳。
ところが、これで終わりじゃなかったところが、今年の世界選手権のすごいところ。勝利をさらっていったのは、大トリで滑った安藤美姫。いや、いい演技でした。もともとショートで、トップのキム・ヨナと3.98しか差のなかった安藤。キム・ヨナのミスで、安藤が上に来ることは予測できたにも関わらず、浅田真央の133.13を叩き出したフリーの後で、「勝つのは真央ちゃん」の雰囲気は濃厚だった。しかし、ショート、フリーのいずれかでミスした16歳の二人に対して、両プログラムをほとんどミスなく滑りきった安藤が、総合点で勝利。
安藤は、滑り終わった後も泣かなかった。泣き出したのは、点数が出て1位だとわかってから。あの瞬間も感動的だった。
これまで何度か、キム・ヨナに逆転負けを喫していた真央ちゃんが、これで精神的に楽になればいいと思う。自分にない滑りをするだけに、キム・ヨナに負け続けるのはつらかっただろう。浅田真央にとっての今回の目標は、優勝ではなく、彼女に勝つことではなかったか。少し年長で、しんどい経験に勝る安藤や中野は、周りに振り回されることなく、自分のベストの滑りに徹していたように見えた。三者三様で楽しめる演技だった。
しかし、世界選手権だというのに、グランプリ・シリーズ並みの選手数しか映りませんでしたね。まあ、予測はしてたけど。今年は本気でスカパーに加入しなきゃダメかな。それより、番組がTOKIOに占拠されていたのは、ほんとにイヤだった。あの人たちが解説すると、ラーメンの解説を聞いてるみたいなんだもの。国分太一って、「それらしいことを言う」のがとっても上手で、居酒屋で上司にどんな話題を振られてもそつなく答えるリーマンみたいで嫌。そのそつのなさは、他の番組ではあまり気にならないのだけど、自分が愛着を持っているジャンルでそれをやられると、癇にさわるのよね。かといって、あまりに頓珍漢なことしか言えないアイドルを持ってこられると、怒り爆発なんだけど。F1には改善が見られつつあるのに。
ということで、ゲデヴァニシヴィリちゃんでアクセスしてくださった方、今回の世界選手権ではチェックできませんでした。ごめんなさい。来期のグランプリ・シリーズ以降は、スカパーでなるべく多くの選手をチェックしたいと思います。(03/26更新)
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書影をクリックするとbk1の紹介ページに、ISBNをクリックすると、はてなの紹介ページに飛びます。
- 『文学少女の友』千野帽子著、青土社、2007.4、ISBN:4791763211
- 『どれだけ読めば、気がすむの?』豊崎由美著、アスペクト、2007.4、ISBN:4757213581
- 『BSアニメ夜話 Vol.04 超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか (キネ旬ムック)』キネマ旬報社、2007.3、ISBN:4873766516
- 『robot 8 Super color comic』村田蓮爾責任編集、ワニマガジン社、2007.5、ISBN:4862690114
- 『高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか』高銀著、青柳優子/金応教/佐川亜紀/金応教編、藤原書店、2007.3、ISBN:4894345633
- 『『山の音』こわれゆく家族(理想の教室)』ジョルジョ・アミトラーノ著、みすず書房、2007.3、ISBN:4622083248
- 『フェルメールの受胎告知』シリ・ハストヴェット著、野中邦子訳、白水社、2007.4、ISBN:4560027129
- 『棄ててきた女(異色作家短篇集 19 イギリス篇)アンソロジー/イギリス篇』若島正編、早川書房、2007.3、ISBN:415208801X
- 『エソルド座の怪人(異色作家短篇集20 世界篇)アンソロジー/世界篇』若島正編、早川書房、2007.3、ISBN:4152088028
- 『漆黒の霊魂(ダーク・ファンタジー・コレクション)』オーガスト・ダーレス編、三浦玲子訳、論創社、2007.3、ISBN:4846007642
- 『ハーレー街の死(論創海外ミステリ)』ジョン・ロード著、加藤由紀訳、論創社、2007.3、ISBN:4846007464
- 『山田風太郎全仕事(一迅社ビジュアルBOOKシリーズ)幻妖』青木逸美ほか執筆、一迅社、2007.4、ISBN:4758010757
- 『横溝正史自選集 3 八つ墓村』横溝正史著、出版芸術社、2007.3、ISBN:4882933160
- 『妖魅変成夜話 4』岡野玲子著、平凡社、2007.3、ISBN:4582287557
- 『銀幕横断超特急 乗り物映画コレクション』高橋いさを著、論創社、2007.4、ISBN:4846006263
- 『野球とシェイクスピアと』佐山和夫著、論創社、2007.4、ISBN:4846003442
- 『アーサー王物語 5』トマス・マロリー著、オーブリー・ビアズリー挿絵、井村君江訳、筑摩書房、2007.3、ISBN:4480832017
- 『立原道造全集 3 手記』立原道造著、中村稔ほか編集、筑摩書房、2007.3、ISBN:4480705732
- 『スピノザ エチカ抄(大人の本棚)』ベネディクトゥス・デ・スピノザ著、佐藤一郎編訳、みすず書房、2007.3、ISBN:4622080745
- 『脱暴力へのマトリックス(戦後・暴力・ジェンダー)』大越愛子/井桁碧編著、青弓社、2007.3、ISBN:4787232711
- 『思想の身体 徳の巻』黒住真編著、福井裕之ほか著、春秋社、2007.3、ISBN:4393332520
- 『筋力トレーニング法100年史』窪田登著、体育とスポーツ出版社、2007.3、ISBN:4884582098
- 『黄河下流域の歴史と環境(学習院大学東洋文化研究叢書)東アジア海文明への道』鶴間和幸編著、東方書店、2007.2、ISBN:4497207021
- 『明治憲法欽定史』川口暁弘著、北海道大学出版会、2007.2、ISBN:483296674X
- 『内務省の社会史』副田義也著、東京大学出版会、2007.3、ISBN:4130561006
- 『近世書籍研究文献目録 増補改訂』鈴木俊幸編、ぺりかん社、2007.3、ISBN:4831511692
- 『岡家本江戸初期能型付(研究叢書)』藤岡道子編、和泉書院、2007.2、ISBN:4757604033
- 『平成漢字語往来 世相を映すコトバたち』興膳宏著、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532165881
- 『こころを詠んだ昭和の名句』宗内数雄著、毎日新聞社、2007.3、ISBN:4620318094
- 『日本の里山日本の里海 4 郷土自慢にふれる里 訪ねるふれあう』中川重年監修、農山漁村文化協会、2007.3、ISBN:4540061119
- 『日本の里山日本の里海 5 文化の息づく里 訪ねるふれあう』中川重年監修、農山漁村文化協会、2007.3、ISBN:4540061127
- 『日本の里山日本の里海 6 発見の里 訪ねるふれあう』中川重年監修、農山漁村文化協会、2007.3、ISBN:4540061135
- 『きれいな水でホタルのふやし方・写し方(サイエンス・シリーズ)ホタルを2倍楽しむ方法』村上光正編、パワー社、2007.3、ISBN:4827722900
- 『ここまでわかった「黄砂」の正体 ミクロのダストから地球が見える』三上正男著、五月書房、2007.3、ISBN:4772704604
- 『アジワン ゆるりアジアで犬に会う』片野ゆか著、ジュリアン、2007.4、ISBN:4902584441
- 『東京・自然農園物語』山田健著、草思社、2007.3、ISBN:4794215797
- 『箱根富士屋ホテル物語 増補版』山口由美著、千早書房、2007.4、ISBN:488492424X
- 『モタさんの世界のりもの狂走曲(角川地球人BOOKS)』斎藤茂太著、角川学芸出版、2007.3、ISBN:4046213019
- 『$100で泊まれる夢のアジアンリゾート Little Paradise in Bali & Thailand』増島実写真、桑野貴子/鈴木さちこ文、文芸春秋、2007.3、ISBN:4163689109
- 『週末ジャパンツアー(杉浦さやかの旅手帖)』杉浦さやか著、ワニブックス、2007.4、ISBN:4847017110
- 『全図解おやじレシピ かんたん基本の20』オフィスSNOW編著、平凡社、2007.3、ISBN:4582833551
- 『昭和すぐれもの図鑑(らんぷの本)』小泉和子著、田村祥男写真、河出書房新社、2007.3、ISBN:4309727549
- 『小笠原流礼法入門 美しい姿勢と立ち居振る舞い』小笠原清忠著、アシェット婦人画報社、2007.4、ISBN:4573140034
- 『邦子先生と一緒に作るはじめてのスカート』成田邦子/小池百合穂著、文化出版局、2007.3、ISBN:4579111397
- 『クラシックヒストリカル108』山崎浩太郎著、アルファベータ、2007.3、ISBN:4871985466
- 『問答無用のクラシック』許光俊著、青弓社、2007.3、ISBN:4787272276
- 『オリコン年鑑 2007』オリコン・エンタテインメント、2007.3、ISBN:4871310825
- 『考える人(中公文庫)口伝西洋哲学史』池田晶子著、中央公論新社、1998.6、ISBN:4122031648
- 『炭やきじいさん』はせがわじゅんさく、うちやまたかしえ、富山房インターナショナル、2007.3、ISBN:4902385368
資料
書影をクリックするとbk1の紹介ページに、ISBNをクリックすると、はてなの紹介ページに飛びます。
- 『外注される戦争 民間軍事会社の正体』菅原出著、草思社、2007.3、ISBN:4794215762
- 『フェアトレード 格差を生まない経済システム』ジョセフ・スティグリッツ/アンドリュー・チャールトン著、浦田秀次郎監訳・解説、高遠裕子訳、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532352517
- 『エコロジーショップの働きかた(シリーズこんな仕事したかった)GAIAという仕事場』新井由己/自然食通信社編集部著、自然食通信社、2007.3、ISBN:4916110900
- 『これが女の出世道!』とらばーゆ編集部編、徳間書店、2007.3、ISBN:4198623066
- 『ブロードバンド・エコノミクス 情報通信産業の新しい競争政策』依田高典著、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532133289
- 『コーポレートブランディング格闘記 B to Bブランディングの実践ストーリー』石井淳蔵/横田浩一著、日経広告研究所、2007.3、ISBN:4532640725
- 『ホリスティック・クリエイティブ・マネジメント 21世紀COEプログラム:エージェントベース社会システム科学の創出』木嶋恭一/中条尚子編著、マイケル・C.ジャクソンほか著、丸善、2007.3、ISBN:4621078437
- 『ゼミナール企業価値評価』伊藤邦雄著、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532132614
- 『会社「経理・財務」入門(ビジネス・ゼミナール)』金児昭著、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532133300
- 『右脳でわかる!会計力トレーニング』田中靖浩著、日本経済新聞出版社、2007.3、ISBN:4532313198
- 『トヨタアズナンバーワン 米国トヨタ大学が教える発想力』マシュー・E.メイ著、中島早苗訳、アスペクト、2007.4、ISBN:4757213689
- 『最強企業はなぜM型なのか? 成功するM型仕事術のすすめ』峰如之介著、グラフ社、2007.4、ISBN:4766210506
- 『実録小さな会社の「営業のすごいしくみ」』市川善彦著、アスカビジネスカレッジ、2007.3、ISBN:4860951255
- 『ポスト成果主義の人づくり・組織づくり 和魂洋才の人材マネジメント』横山太郎著、日刊工業新聞社、2007.3、ISBN:4526058319
- 『中小企業に役立つ人と組織を活かすISO 9000(ISO beyond)ISOへのヒューマンアプローチ』山上裕司著、超ISO企業研究会編、日本規格協会、2007.3、ISBN:4542702197
- 『小売国際化プロセス 理論とケースで考える』矢作敏行著、有斐閣、2007.3、ISBN:4641162905
- 『ついに出た!本当に役立つ中国ビジネス虎の巻 真の成功者が語るチャイナビジネス実践術』谷絹子著、幻冬舎メディアコンサルティング、2007.4、ISBN:4344995783
- 『環境が農を鍛える(アジア太平洋研究選書)なぜ農業環境政策か』原剛著、早稲田大学出版部、2007.3、ISBN:4657073087
- 『トコトンやさしい振動・騒音の本(B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ)』山田伸志著、日刊工業新聞社、2007.3、ISBN:4526058327
- 『『新しい歴史教科書』の〈正しい〉読み方 国の物語を超えて』ひらかれた歴史教育の会編、青木書店、2007.3、ISBN:4250207064
- 『憲法九条は諸悪の根源』潮匡人著、PHP研究所、2007.4、ISBN:4569690726
- 『まほろばの国で終章』さだまさし著、毎日新聞社、2007.3、ISBN:4620318078