寝れば寝るほど疲れが実感される日曜日。午後から起き出して、まずは代々木上原に。知人がギターの合奏をするとのことで、ちょこっと覗いてみた。「何かをやっている人」というのは、集団になると、特定のカラーをかもし出す。クラシックギターの人たちは、概ね真面目というか、平和を志向する感じに見えた。ギターを抱えるのに、女性で足を閉じている人と、足の間に挟む人がいた。知人の参加した合奏は、選曲も演奏もまずまず。

3組しか聞かずに、あわただしく御徒町に移動。毎年恒例になりつつある、安岡秀徒君のご母堂の出品するいけばな展@上野松坂屋。今回は、各支部による大き目の展示が目立った。基本的に現代華は何でもありの世界で、独創性と悪趣味の境界がよくわからないものがある。音楽であれば、変奏曲に通底するオリジナルを聞き分けるのはある程度可能だが、この色とりどりの作品に通底するのは何なのか。会場でたまたま面白い人と話す機会があって、彼は、もともとは法律を専攻していたのだが、縁があって、日本の伝統文化に興味を持つようになった。彼の目には、いけばなの各作品が、「これは日本の憲法」「あれはイギリスの〜法」というように見えるのだという。法と伝統文化の類似。面白いなあ。師匠の作品は、モンキーパインモンキーパズルにカラーをあしらったもの(http://blog.hidetoyasuoka.com/2007/03/post_94.html#more)。いつも密林を連想するのはどうしてだろう。不健康な性格の人の内に秘めた部分なら、もっとおどろおどろしくもなるだろうが、同じ内に秘めたものであっても、ワイルドな可憐さといったものを感じるところがやっぱりお人柄。完全にまとまっていないところが、逆にいいと思う。

久しぶりに、安岡君とも会うことができた。こちらも恒例で、花粉症がひどい由。レース中眠くならない花粉症の薬って、ないのかしらね。「ライコネン勝ちましたね」と、あまり嬉しくなさそうに言われる。いつの間にかマッサ派に転向?してしまったらしい。「だって、マッサはすごく努力してますからね。才能あるし」とのこと。もちろん、才能という意味ではライコネンの方が上だが、「彼は、レースで走ることしか興味ないんじゃないですか」。開発能力と、開発に携わる姿勢の話らしい。まあ、仕方ないよ。社会性と勤勉さを身につけたとしても、レースで速く走れるわけじゃなし。逆に、レースで速く走るために必要十分な努力は惜しまない彼だろうし。あの、誰も彼も才能がある世界で、「飛び抜けた才能」をみんなが認めているというだけで、ひれ伏しちゃうよ、実際。マッサだのハミルトンだのハイドフェルドだの、「勝つ実力は十分」の選手の中で、「才能差」でライコネンがタイトルを獲るのを見たい。(実は密かに好きになりつつある)アロンソとのワンツーを、今年は何度見られるのかな。

中嶋君の話題も出た。彼は「空力で勝る」F1マシンの方が、F3のマシンより合っているのではないか、とのこと。「足(サスペンション?)」と「空力」の二要素については、よくわかんなかった。すみません。

花もいけられる安岡君、「何を美しいと思うかは、先天的な感覚の問題じゃないですか」とばっさり。おしゃべりに気を取られて、あまりちゃんと見られなかった。

湿気の多い、不快指数の高い天候のせいか、多少の頭痛を抱えて帰る。母から電話があり、個展会場に森崎和江さんが来てくださったとのこと。私が福岡に滞在中、会場に置いてあった西日本新聞を読むのを日課にしていた母は、森崎和江さんに関する記事を読んで、共通の知人の話が出てくることを発見。早速お手紙を書いた。が、普段そんなことをしたことがないので、送り先がわからない。私が替わりに支局に電話をしてみたところ、記事を書いた記者さんとコンタクトが取れ、母と話した彼は、快く送付先を教えてくださった。せっかくなので、個展の案内の葉書も同封して送ったところ、ご本人が見えられたという次第。小柄で上品でまことにかわいらしい老婦人だった由。その日、鹿児島からやってきた父も、彼女の本を何冊か読んでいたとのことで、話がはずんだそうだ。嬉しい驚き。

もう一つ、やはり私が福岡滞在中、春吉の『珍島』(http://r.gnavi.co.jp/f087300/)という韓国料理店で晩ご飯を食べたことがあった。美味しくて、食べながら元気を回復するのがわかるような料理をいただき、支払いのときに、感じのよい女主人に母の個展の案内をし、「また母がお邪魔するかもしれないのでよろしく」とお願いしておいた。昨日、母が父と一緒に再訪したところ、女主人から「絵を見ましたよ」と歓待されたという。メニューの脇に、会場から持ち帰ったらしき個展の案内状も貼ってあったとか。一見さんから話を聞いただけで会場に足を運んでくださるなんて、なんて親切なことか。福岡再訪の折りは、お礼を言いに食べに行こうと思ったのだった。

父が再び福岡にやってきたので、母の数十年ぶりの一人暮らしもこれで終了である。老人の慣れない土地での一人暮らしなので、世間で普通に犯罪が起こる確率で、トラブルに巻き込まれないとも限らない。体の健康と、トラブルと、個展の成功云々より、まずはそれが心配だった。お気楽な父は、日中はあちらこちら、写真を取りに遊びに出向いているらしいが、まあ今回は、ワードで案内状も作ってくれたようだし、いつもの妨害、不機嫌に比べれば格段に進歩したといえる。あと数日、二人で無事に乗り切ってほしい。

P.S. 安岡さんから、花材について補足のメールをいただきました。松ぼっくりを連ねたような枝だったので、「パイン」だと思ったのですが、記憶違いでした。
"Blogに書かれていた花材なんですが、モンキーパインではなく、モンキーパズルです。チリ松の通称でモンキーパズルツリーと言います。カラーは、"トレジャー"という名前で、ピンクの花のリモニウムが"スーパーレディーローズ"、ガラス瓶の所に入っていた草色の花がキャンディータクトシーズと言います"