日記のはずだったけど

『江戸散歩・東京散歩―切り絵図・古地図で楽しむ、最新東京地図で歩く100の町と道』成美堂出版編集部、成美堂出版、02/2005、ISBN:4415101399

おなかはすいてないけど、寒いので何か温かいものが食べたくなる日和。ここで「伊勢屋」のみたらし団子が浮かんでくるところが下町暮らし6年目の証かな。

上京以来ずっと東京の西側、西武池袋線の沿線に住んでいた。他の地域に引っ越すことを考えないでもなかったけれど、新宿、渋谷の人込みが嫌いだったし、かといって東京の東や南はあまり縁がなかった。

この辺りに縁ができたのは、以前デスクを置かせてもらっていた会社が品川からこちらの方へ越してきたから。地下鉄で通っているときは気付かなかったが、初めてバスで永代橋を越えたとき、窓から見た隅田川・佃の光景に一目ぼれ。自分は水が恋しかったのだと気付いた。

もともとヨーロッパ一辺倒だった嗜好が変わり始めたのは、年齢のせいもあるだろうけれど、江戸時代から名をはせた下町に引っ越してきたことの影響が多分大きい。歴史があるということはデータベースを持っているということで、「実物よりもデータが好き」くらいの私としては、ずるずると「江戸」の方へ引き寄せられていったのだった。

さて、人形町文教堂で平積みしてあったこのガイドブック。思わず買ってきちゃったけどお買い得だったね。古地図や絵画がオールカラーでふんだんに載っている上に、嬉しいのは、江戸時代の地図の上に現代の情報を重ねて載せてくれていること。うちの近所は松平がのしてたのね、なんてこともすぐわかる。

「リアルタイム江戸ガイド」と謳っているだけあって、ショッピングも食べ物も、さらには美術館・博物館情報も、「江戸」がベースになっている。「歌舞伎18番」とか「吉原用語辞典」とか「お江戸火消64組」なんて、普通ここまで書くものかしら?

ほかにも類書はあるのかもしれないけど、ビジュアル・楽しさ・情報の細かさ・実用性・一般人向けという点で、これまでなかった試みでは?負け犬さんと和の趣味は相性がいいそうだし、そういう意味では30代女性に売れるかもしれませんね。