DVDセットが待ちきれない

先週、『インファナル・アフェアIII 終極無間』を見た。この春一番の本命だったの。

警察に潜入したマフィアの手先ラウ(アンディ・ラウ)と、マフィアに潜入した警官ヤン(トニー・レオン)。先に斃れたのは警官だった(I)。若き日の二人がIIで描かれて(起用された若手二人も大健闘)、本作は生き残ったラウの後日譚。

なんとも後味の悪い、残酷な結末。「運命は人を変えるが、人は運命を変えることはできない」という言葉が何度か出てくる。普通の人生ならば生き残ること自体が勝利だけれど、一度裏切りの連鎖の中に身を置くことになった者にとって、生き残ることは救いではない。「俺は善良なんだ」「俺は警官だ」と叫びながら、ラウは幻覚の中で、自らが葬ったものに再び銃を向け、銃を向けられる。くり返し。

ああ!なんて痛ましいの!そして、なんっって!かっこいいの〜。

なんである。筋だけ見れば。

1作目でハリウッドがリメイク権を買いに来るほどの完成度を見せ、2作目ではアイドル風の若手を持ってきたにもかかわらず、非情な世界は揺るがなかった。だけど、この3作目はねえ。ラウはいいのよ。でも、ヤンのにやけ顔はちょっとねえ。

夾雑物。ケリー・チャンにはなんのうらみもないけれど(きれいな人だよね)、お固くて正しい精神科医の存在は、この映画にとってどうなんでしょう。1、2作で男たちを惑わせたカリーナ・ラウの女っぷりの良さが物語にマッチしていた分、ケリー・チャンだけが、浮いていたような気がするの。「オーシャンズ11 特別版 [DVD]」のジュリア・ロバーツみたいに。

最後まで、とことん、笑顔を忘れた男たちの物語にしてほしかった。

しかし、アンディ・ラウはもちろんのこと、このシリーズでは、画面に登場する男たちのいちいちが、見事な面構えで惚れ惚れしました。黒服がまたよく似合って。香港の海と街が豪華で。III作目の唯一の収穫は、「天使の涙 [DVD]」以来久しぶりに見たレオン・ライ。育ったのねえ。いい男になったわねえ。今年一番の「眼鏡が似合う男」は、4月だけど彼に決めちゃいましょう。

このシリーズが引き金になって去年は香港に出かけたけれど、それはまた別の話。

<追記>ラウとヤンの鏡像関係にはいろいろな方が触れられてますが、とりあえずはこの方の感想が、一番腑におちました。私もこういう風に見られればねえ。 http://d.hatena.ne.jp/fumiya238/20050424