博多駅で母と待ち合わせて、美術館・画廊巡りに出発。福岡アジア美術館でまず「千住博展〜大徳寺聚光院別院襖絵七七枚の全て〜」。滝とか波とか、水の音が聞こえてくるような、それでいて心がしんとしてくるような襖絵を見る。一見単調な連なりが絵になってしまう力技。ダイナミックさと上品さ。常設展ではアジアの作家の作品を見る。アールデコ調の繊細な作品もあり、当たり前なのだけれど驚く。西洋文化とのせめぎあいは、どこの国も同じ。

美術館の入っているリバレインの中でお昼。どこに行っても東京の人ごみとは無縁で気持ちがゆったりする。「ゆたーっとするごたる」。

地下鉄で移動して、知り合いのつてで紹介していただいた画廊へ。最初は表情が硬かった女主人が、母の画帳と写真を見るうちにがらっと好意的になる。表情の変化を見ているのが面白いほど。元々企画展の話ではなかったけれど、「うちでよければお貸ししましょう」ということに。地元でなくてもやれる程度の力量ではあるらしい。娘としては「一昨日おいで」と言われなくて一安心。

赤坂・天神の画廊をいくつか見て回る。通りすがりの客を呼びたいなら、一階の方が良いのだけれど...。

ともあれ画廊めぐりも無事済んで、長かった旅行の日程も終了。ホテルクリオコート博多内の「円座・長屋」で打ち上げ。不肖の娘も、母の夢実現の手伝いは厭わず。教育を受けた段階で貰うものは貰ったから、後は家を抵当に入れてでも好きに描いてほしい。「したい」ではなく「ほしい」ばかりの父は文句を言うかもしれないが。

母を電車に乗せた後、紀伊国屋で仕事関係の本と東村アキコの新刊を購入。最終便で帰京。せっかくiPodを充電器付きで抱えていったにも関わらず、疲れ果てて取り出すこともできず。あやふやな自分と再び向き合う覚悟だけを再インストールして家に戻る。