嫁にもらうなら/旦那にするなら

大学時代の同期の友人の母君が絵の個展を開くということで、菓子折り持って銀座。大通りからも程近く、1階ではないけれど入りやすい構えで、中は結構広い。会場費どのくらいなんだろう。なんてことを絵を見る前から考えてしまうのは、絵を描く身内を持つ者の業といえよう。

旦那様を亡くしてから絵に没頭なさっているというお母様の絵は、ほどほどに激しい赤と、涼やかな緑を多用した作品が多い。静物画と人物像。裸婦の体型がいかにも昔風の日本人なのが好ましい。パワーを感じる割にはこじんまりしているので、ちょっともったいない気も。もっとぐわっと行けるのでは。とは申し上げず、おいしいお茶とお菓子をいただきながら、友人夫妻と歓談。

お客様の数が増えてきたので、近くの椿屋珈琲店に場所を移して、10年ぶりくらいに会う友人の旦那の近況を根掘り葉掘り尋ねる。実は3人とも大学の同じ合唱団で歌った仲間。旦那は一期先輩で、私とは学指揮、伴奏者の間柄だ。同期と結婚して10年だが(10年前の今日は台風でしたね)、一昨年、会社を辞めて翻訳学校に通うことになったということで、その後を気にしていたのだ。

翻訳をやる知人はそこそこいるとはいえ、文芸、それもSFをやりたい、ということで「ほんとにやっていけるのかな?」と心配していたのだが、良い先生にも出会い、とある出版社のリーディングをやるところまでこぎ付けたとのこと。「とはいっても、去年の年収はゼロ、今年は?十万だけどねー」と夫婦揃って苦笑い。でも嬉しそう。

やっぱり、年がいくつであろうが、狭き門であろうが「これがやりたい」という思いが強い人はやるものなんだなあ、と感心。学生時代、私が借りた文庫版ラヴクラフト全集4冊を「あげるよ」と下さった方である。同じ版元からそのうち訳書が出るかもしれないなあ。そしたら同期をあげてお祝いしよう。

その昔、ブレイク前の佐々木倫子「忘却シリーズ」を貸してくれた同期の子は、現在SEとして会社勤め。もう、旦那が家事をやってくれないと生きていけないとのこと。自営業、翻訳事情、リサーチ、PCまわりの話をコーヒー一杯で延々6時まで。喫煙者が周りに多かったせいか、のどが嗄れ、酸欠気味で多少頭痛がしたけれど、有意義な時間でした。どうもありがとう。

彼女たちと別れた後は、何もかも切れてしまった化粧品購入のためデパート巡り。試供品がとってもよかったランコムの「ABSOLUE」のシリーズは、値段を見たら、デイクリームですらドゥ・ラ・メールのクリームと同じ値段。その上ナイトクリームは別。価格帯と効果をネットで短時間精査した結果、新規開拓でサンローランのラインを一式購入。もう、同じ価格帯のランコムのものは効かないのだ。

正しい生活とまめなお手入れをしていれば、きっと高い化粧品は要らないんでしょう(私が買っているのも「高い」ってほどじゃないけど)。それができない以上、外資系化粧品のいい匂い(これは好き嫌いが分かれる)に心を守ってもらわないとやっていけないのだ。それにしてもねえ、「今使っている美容液が、あなたの10年後を左右します」って、体のいい脅迫だよねえ。

嫁さんにするなら、安い化粧品できれいな肌を保っているお嬢さんに限りますよ。いろんな意味で。