京都一日目

ものが見当たらないとき、それが出かける前であった場合は潔くあきらめるのがよろしい。とわかっていても、それがお気に入りのリップスティックだったりするとそうそうはあきらめられないのだった。特に旅行に出かけるとなると。そんなこんなでだらだらと出発を遅らせて東京駅に着いたのは15:30。臨時ののぞみの指定席を予約して、京都は寒いだろうと、駅構内のユニクロで3足500円のタイツを購入。このロケーションはいつもながら重宝する。

ただでさえ寝不足のところここで飲んでしまったら顔がぐずぐずになるのは目に見えているので、ビールはがまんして新幹線に乗り込む。前の席の男の子がマサムネと佐々木蔵之介の遠戚のような容貌であった。眠いのを我慢して起きていたのは、雪が降り始める一瞬を見たかったから。暮れていく車窓の外を目を凝らして見ていたのに、米原あたりをすぎても一向に雪の気配はなし。何事もなく京都到着。

とりあえずは、母の出品している絵画展のレセプションに参加するために京都ホテルオークラまで地下鉄で移動し、会場で母と落ち合う。この会社が主催するレセプションにはもう3回くらい参加しているはずだが、このパーティで特筆すべきは、圧倒的な料理の少なさであった。出席者は150-200人くらいだったと思うのだが、何せ、料理を取るために並んだ列の半分程度しかはけていないのに、料理は既にないのである。高い出品料を取っているくせに、この体たらく。遠方から食うや食わずで晴れの舞台に出向いている老人も多いのに、この扱いはないだろう。舞妓見せりゃいいってもんじゃないんだ。

たまたま同じテーブルについていた方々は、一昨年、浦和でのレセプションで同席した方々だと思うが、先方は覚えていない様子であった。すぐに打ち解けておしゃべりしながら、「初めて会った気がしない」なーんて考えていたのじゃないだろうか。母は評論家の先生方と話しながら楽しそうであった。

レセプション後、一駅離れたハートンホテルに移動。絵画展の会場が京都文化博物館だったので、その近く(&予算1万円)ということで選んだホテル。当初は金曜日しか空きがないということだったが、チェックインの際確認したところ、翌日一部屋空きが出たということで、連泊に切り替えてもらう。有難い。

まずはごはんということで、宿の近辺を歩いてみる。四条の方に歩けば食べるところはいくらもあったはずなのだが、疲れていて頭が働かない。「宿の近くで」という方針が裏目に出て、あちらの通り、こちらの辻をさまよい歩く。一つの辻に出るたびに、ぽつんと明かりがともっているのが見える。ただ、電飾の看板が出ているわけではないので、近くまで行ってみなければ何の店なのかはわからない。明かりに誘われてふらふらと近寄っていくと食べものとは関係のないデザインの工房だったりする。山の中で迷っているのと似ている(笑)。一軒感じのよいおばんざい屋さんがあったのだが、あまり母の財布を痛めたくないので見送り。結局、居酒屋に毛のはえたような店に入った。高くはなかったけれど、評価は見送り。

疲れているが、あれやこれやで落ち着かない。『犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)』を2時近くまで読む。面白い。(01/25)