高校を卒業してしばらくフリーターをしていた知り合いのお嬢さんが、昨年めでたく就職した。高卒で「週休二日/社会保険完備/手取り18万以上」を探すのは大変だったそうだが、無事条件に合うところを探し当て、勤め先の消費者金融会社に今も無事に通っている。年末に就職祝いをしたとき、「このところ過払い金返還請求が多くて困る」とぼやいていた。「借りた人が利息制限法なんか知らないままでいればいいのに」と。

彼女は賢い子なので、「貸す側」と「借りる側」の双方の立場を見渡せる目を持っていると思う。他人の無知や無力を、利用するとまではいわなくても、不足があるからこそ補えるのだ。会社の利益に貢献するゲームは、そのつもりになれば面白い。

本屋で「アンチ即戦力主義」と書かれた本の帯を見た瞬間、不意をつかれた。「即戦力」により近くなること以外に、生き残る方法があるんだろうか。アルバイトに来ていた学生さんたちに、「PCの操作くらいここで覚えようよ」「わからないならどうして最初に言わなかったの」と苛苛しながらにっこり笑って言い聞かせたのは、要領の悪い子になんとか生き残ってほしかったからなのだが。「有機農業で育てた農産物を売りたい」とか「カラーセラピーを勉強したい」とか「給料は安くてもいいから旅行できたらいいなあって思って」などという子は、単なる甘えたちゃんじゃなかったのだろうか。

本のタイトルは『働く過剰 大人のための若者読本 日本の〈現代〉12』。気になる。

デザインの現場」も「Esquire」も「STUDIO VOICE」も、なぜかみな本の特集(順に「デザインを読む!ブックガイド300」「美しい本、230冊」「今最も面白い小説150冊!」)。目移りするなあ。