頭を逆さまにしてとんとん叩いてみても、美しいものが何も入っていない。友人がプラハドレスデンで美しいものをたくさん見てきたというので電話してみたら、なぜか友人たちの更年期と家移りの話。「あんなに外交的でてきぱきした人が、何もやる気が起きなくて、そんな自分を許せないって...」「いや、そのくらいのことで自分を責めてたら、今頃生きてないよあたし」「ああ、あなたはねえ。これ以上ひどくなったところで、「え、もとからおかしいじゃん」で終わりだよね」「そういえば、Yが引っ越しましたって。とうとう別れたかな」「え、離婚?」「いや、結婚後すぐ別姓を通すために籍抜いたから、形式上はとうの昔に他人」「えー、今さら生活を変えることに余計な労力を費やしたくない」「あなたこの頃、離婚するって言わなくなったねえ」

あんまり気晴らしにならなかった。おみやげはドレスデンの磁器だって。

図書館の本が流れまくり。散る桜に肩脱ぎ刺青の桜吹雪を想い、むしろ気分は緋牡丹博徒*1。こんなときには矢作になりたいけど、ヒステリーの混入でハードボイルド辞書起動不能

「正しさは 振りかざさずに 立っている あなたの悲しみに よく似合う」『プライベート (集英社文庫)

「夢見る人間のように話すのを止めよ」『眠る男』

*1:未見。