映画化

F1予選後に、堤幸彦のインタビューが流れているので。『明日の記憶』の映画化は、できれば避けていただきたかった。どうせ、べたべたの闘病記に仕立てられてるんでしょうよ。リアリティ度?そりゃ渡辺謙ですし。

原作は、若年性アルツハイマーという重苦しい状況を扱いながらも、介護をどうするのかとか、家族の悲嘆とか、実際に直面するであろう現実的な問題は、注意深く、描写を抑えられていた。だからこそ、「自分が規定する自分を失っても、自分は生きていけるのか、尊厳を保つことができるのか」という問いから、ぶれることなく、読むことができたのだ。病気でなくても、自分の話として読んだのだ。

まあ、映画と原作は別物だと思えばいいんだけど。「闘病と夫婦愛」物として映画化されるだろうな、やだな、という読んだときの予感が当って腹が立つだけだ。

伊坂が2作も映画化されるとか。うーむ。『魔王』はむしろ、やれるものならやってほしい。ラストシーンなんか、フィルムを見ているように目に浮かぶもの。しかし、「政治的、重厚かつ詩的でスタイリッシュ」な映画を撮れるような監督がいるのかな?