前日に「急用です」という留守電が携帯に残っていて、こちらからかけ直そうと思っていた矢先に、先方からまた連絡が入ったので取ってみたら、見合いの相手を世話したいということだったので、不覚にも大笑い。

私のことをある程度知っている人は、「この人は結婚は無理」ということをちゃんと承知していて、その点に関して追及を受けることはごく稀なのだが、「知り合って間もない」しかも「老人」となると、「彼氏もいないかわいそうな女性である」「素直で言うなりである」から、「食事に連れ出そう」または「見合いの相手を世話しよう」という話に展開することが、年に一度くらいある。高齢者にはなるべく親切にするのが私のポリシーである。

年齢を尋ねられたので、42歳と鯖を読み、「えっ!20台後半じゃなかったのか」と本気で驚くところを十分に楽しんだ後、「もう40じゃ子どもも産めませんし、家事全般全くできません。私のようなものを見合いの席に連れて行ったら、先生が恥をかきます」と這う這うの体でお断り。「もう釣り書きももらってあるんだ。どっちも(二人いるらしい)社長さんだぞ!せめて顔を合わせるだけでも」というのを、ひたすら受話器に頭を下げて電話を切る。不機嫌になられても困るよ。

いや、とりあえず会うだけ会いに行ったら、相手は世にも稀な美男で眼福に与った、あるいは萩尾望都伊坂幸太郎談義で話が盛り上がった、という結果が万が一にでも望めるのなら話は別だが、こういう場合、おじさんという種族のうち、固体識別のし難い感じの、なんだか灰色のなんじゃもんじゃが出てきて、品定めの邪眼にさらされた挙句、「こいつの番いにちょうどいい、と思われる私って...。世の中とはなんと哀しい場所であろうか」とがっくり道端に頽れる羽目になるのは目に見えている。

相手の親切がちっとも有難くない、ということが多いのは、情報をちゃんと伝えきれてないってことかしら?そもそも、共通言語を話さない方々とのおつきあいは無理かも?他人を貶めることに喜びを覚える、意地の悪さが無意識まで染み亘っている女性連は、きちんと切り離しているはずなんだけれども。