F1日本GP予選

鈴鹿サーキットを久しぶりに画面で見て、やっぱりいいコースだなあ、と思う。開けた空と海と。ここには明るい「気」がある。風に翻る旗。強すぎない陽射し。観戦日和だ。師匠元気かしら。

チームの「総合力」ってのは、結局「執念」と同義語なんだと実感した今日の予選。ブリヂストンを生かせるパッケージを、ぎりぎりで間に合わせてきたトヨタライコネンを第2ピリオドで必死に振り切ったホンダのバリチェロ。何より、「ミハエルを勝たせるんだ」という一念が、結晶化してそこにあるかのように伝わってきたフェラーリ

3列目に沈んだルノーは、どこかで進化を止めてしまったように見える。孤独な王になってしまったアロンソ。結果が出ないことに、もはや苛立ちを見せないマクラーレン。このところのライコネンには、速さに対するストイックさが感じられない。非常に遺憾。

奇妙な空白を感じる。王座が中空に浮かんでいるような。ただの「人」には近づけない場所にあるような。いや、明日ふたを開けてみれば、泥まみれの地上戦なのかもしれないけれどね。いずれにせよ、平凡なレースにはなるまい。

ミハエルの不在が重い。まだ彼はいるのに。ただの車のレースなのに、ただの観客なのに、世界の中心に鈴鹿があるような気がする。やっぱり彼は特別だったんだなあ。