「あまり聴かない方のCD棚」(クローゼットの開け放しの扉の裏に隠れている)をあさっていたら、1枚だけ持っているトッド・ラングレンの『One Long Year』が目に留まったので、iTunesに落としてみた。改めて聴くと、結構好きだ。視聴して気に入ったのもうなずける。メロディ・メーカー好きだから(ジョンとポール、どちらが好きかと問われれば、答えはもちろんポールだ)。

しかし、気に入ったはいいが、この人について知る機会はその後なかった。手持ちのロックの流れとも違っていたし。しかし、この春、意外なところで名前を聞くことになった。大貫妙子の、春に一回終了した「Night Stories」の最終回で、彼女のお気に入りのミュージシャンの一人として紹介されたのだ。そんな意外な事実があるのなら、引っ張り出して聴かねば、と思ったことを思い出したことだよ。

ついでに思い出したこと。同じ放送で、リスナーから「シモーヌ・ヴェイユを髣髴させる」というようなお便りが入った。その文面を読みながら、大貫さんは「誰ですか?シモーヌ・ヴェイユって」と、こともなげにおっしゃった。さすがター坊、知らないということすら様になる。ちょっと、ときめいた。

その人がその人であるということで、自分にとって歓迎すべからざる情報が全然マイナスにならないことがある。山形さんがMP3プレーヤーを持ち歩かないと聞いたときも「まあ、外出先でお気に入りの音楽なしでいられるなんて。イメージと違うわ!」とは思わなかった。昨日の島田雅彦の講演会で、彼は「ダメージジーンズに『萌え』と書いたジャージといういでたち」だったという(http://d.hatena.ne.jp/masatokd/20061121)。この場合の感想は、「なんて好いたらしいお方!」である。

『One Long Year』で好きなのは、「Love of the Common Man」という曲。

Everyone is waiting, just anticipating on you
Won't you make a showing everybody knows what to do
Take a dive from your ivory tower
And fall on everyone will catch you, everyone

こういう歌詞なんだなあ。作られたのは1976年とのこと。