なかなかさっぱり目覚めたものの、起きていてもいまいち頭がはっきりしない。期限が今日までの用事がないのをいいことに、3時過ぎからはベッドに戻ってしまった。抱えていった本は開きもせず。次に目が覚めたのは7時20分過ぎで、テレビをつけたらアルバン・プレオベールが映っていた。トリノ・オリンピックの時、そこそこの演技とタカ派の顔立ちで覚えていたトマシュ・ベルメルが、上手になっていて驚いた。新勢力台頭は、新鮮で楽しい。

逆に言うと、他の選手はグランプリ・シリーズでの常連で、繰り返し見慣れたプログラムは若干退屈。それにしても、ここ二、三年の常連さんたちのハンサム度の高いこと。ジュベールですら、飛び抜けているわけじゃないんだもんなあ。

自滅レースを勝ち抜いたジュベール高橋大輔が、順当に1位2位。ジュベールって、もう失敗しなくなっちゃったんだ。高橋大輔は、よく頑張ったなあ。2人の差が2.9しかなかったのは驚き。ジュベールにミスがあれば、本当に金もありえたわけだ(今さら)。

でも、今日の演技で、本当に目にすることができてよかったと思ったのは、やっぱりランビエール。フィギュアにはたまに、こういう演技がある。ジャンプやステップの一つ一つの出来なんか、どうでもよくなってしまう。ひたすら目を奪われたまま、食い入るように見つめるしかないような演技。スポーツである以上、技術で点数がつくのは当たり前のこと。でも、私を魅了するのは、もはや彼の「演技」ではない。フィギュアスケートという表現手段を得てそこに映し出された、ステファン・ランビエール自身なのだ。

スケート関係のゴシップはチェックしていないので、何が彼の雰囲気をあんなに変えてしまったのかは知らない。しかし、彼の技術に若干の陰りを生じさせてしまった何かは、彼の表現力に、他の選手には真似のできない深みを付け加えた。彼は、スケート以外にも語学や演劇を勉強したいそうなのだけど(http://journal.mycom.co.jp/news/2007/03/23/503.html)、もしかすると、フィギュアスケート一筋で生きていくタイプではないのかもしれない。それでも、もう数年は滑ってくれると嬉しいなあ。

ライザチェックのカルメンが子供だましに見えた、フリーでのプログラムは、Antonio Najarro振り付けによる「Poeta (Flamenco)」by Vicente Amigoだそう。しまった。二度と見る機会はないのか。(03/24更新)