心拍計(高度計付き)がほしいなあ。

きっかけは、『Apple Nike + iPod Sport kit MA365J/B』の発売だった。このところ山登りのたびに体力不足を思い知らされていて、でもジム通いは嫌いで、「やっぱり走るしかないのかな」と考えていたところに、「走った記録がPCに残せる。しかもiPodを使って」というのはかなり魅力的な提案に思えて、一旦はアマゾンのカートに放り込んだものだ。しかし、二つの理由から購入を見送った。アマゾンでは「Nike +」対応のランニング・シューズを取り扱っていなかったことと、肝心のシューズ自体が1万を超えていたのがその理由。「シューズって消耗品でしょ。なんで1万円もするの?」と思っていた半年前が懐かしい。

そうこうしているうちに、シューズにPodを付けて距離や速度を計測するのは、別にNikeの発明じゃないということが判明。ポラール(Polar)だかスント(SUUNTO)だかというメーカーの製品も、トレーニングの記録をPCで管理できるらしいぞ、ということを知る。「心拍数」ってのが計測できるのは、足腰強くて心肺機能の弱い私には結構必須かもしれない。スントって、登山用品店に置いてたよなあ。そういえば、高度計とコンパス欲しいと思ってたんだっけ。色とデザインは可愛い。でも、値段と大きさが可愛くないんだよなあ。

とりあえずは、スントの時計を調べてみた。ここで『SUUNTO(スント) t4(ティー・フォー) SS012691110』という機種に、かなり心を動かされる。スントのtシリーズは、トレーニングに特化したシリーズで、t1/t3/t4/t6と4種類が出ているのだが、『t4』は、シリーズ中唯一『コーチ機能』というのを持っていて、走った日以降5日間のトレーニング・プランをご提案してくれるらしいのだ。「トレーニング・メニューを考える」ことすら覚束ない初心者にはぴったりではないか。素敵だ。値段もこのくらいなら大丈夫。がしかし、『t4』には、高度の計測・記録機能がない。結構致命的。「PC Pod」も「Foot Pod」も別売。

どうやらこの手の高機能時計は、「トレーニング用」と「登山用」に分かれているらしい。しかし、「登山」のために「トレーニング」したい私にとって、「心拍計」「高度計」は絶対両方欲しいし、「PC転送」はあって当たり前。できれば「コーチ機能」が付いていて、ついでに「デザイン」もそこそこ、「値段」はまあ、奮発して5万くらいかな。

という希望を満たす時計は、どうやら存在しないらしい(がっくり)。

そもそも、「高度計」と「心拍計」が両方付くと、候補が限られる上に、値段がいきなり高くなる。デザインはごつくなる。スントだと『SUUNTO(スント) t6 SS010888100』と『X6』のライン及び『Advisor』『SUUNTO(スント) X3HR ブル- SS011671110』あたり。『t6』だけがトレーニング用、残りはアウトドア用のラインである。『X3HR』だけは2万円台だが、『Advisor』と同様、データのPC転送ができない。『X6HR』(このラインで最も安くて定価58,000円)は、高度と心拍数のデータはPCに転送できるけれども、USB経由ではなく、トレーニングの分析機能は『t6』に劣るそうだ。ついでに「Foot Pod」の装着も不可。基本的に山歩きを想定しているので、心拍数のトランスミッタもアナログ対応で、混信も有り。

SUUNTO(スント) t6 SS010888100』は、定価72,000円もするだけあって、トランスミッタもデジタル対応だし、「PC Pod」を別に買わなくても、PC転送は可能。しかし、距離と速度を計る「Foot Pod」は買わなくてはならない。詳細なデータ分析はできるけど「コーチ機能」は無し。合わせて定価で86,800円は、「減価償却資産扱いで計上したいんですけど」っていうお値段。

類似の製品を他社で出してないかというと、ガーミン(GARMIN)というGPSのメーカーが「FOREATHLETE」というラインを出していて、『GARMIN(ガーミン) ForeAthlete201』は結構評判も良い。「バーチャルパートナー」という、時計の中の人が一緒に走ってくれる機能もある。心拍計が付くのは、上位モデルの『GARMIN(ガーミン) フォアアスリート301 010-00375-05 【日本正規品】』の方で、定価48,300円。これ1台あれば、別売品を買う必要がなさそうなのが嬉しい。しかし、基本的に平地仕様で、GPSが木や建物に影響されやすく、心拍計も混信があるとの書き込みも。

心拍計」と「高度計」の付いたポラールの製品としては、『t6』系トレーニング用途の『S625X:POLAR(ポラール) ランナー向け ハートレートモニター S625X』、『X6HR』系アウトドア用途の『POLAR(ポラール) アウトドア向け ハートレートモニター シルバー POLAR AXN500』がある。『POLAR(ポラール) アウトドア向け ハートレートモニター シルバー POLAR AXN500』は、高度計・気圧計・コンパスが付いていて、「Foot Pod」を装着できないところも『X6HR』と同じで、定価65,100円。しかし、登山用途ということなら、元々心拍計メーカーのポラールよりは、コンパスメーカーのスントでしょう。

一方、『S625X』の定価は、「Foot Pod」が付いて60,900円。赤外線通信が可能なPCを持っていれば、データ転送可能。スントに比べての売りは、布製トランスミッタの付け心地の良さだそうだ。しかし、混信防止機能が効くのは、ポラール製品同士の場合だけで、トランスミッタの電波は5kHzのAM波とのこと(ポラールの人)。これをアナログ波と決めてよいのかどうかは、私の知識では判断できない。機能と値段的には、この系列ではこちらでも良いのかな、という気も。

しかし、何度見ても萎えるデザイン。スントと同じフィンランドのメーカーなのに、このしゃれっ気の無さは一体どうしたことだろう。これ、あんまり見せびらかす気になれないなあ。いや、スントも薄くて比較的小さめの『t3』『t4』はスマートなのに、『t6』はいきなりごついんだよなあ。『t3』と『t4』は新色出たのに、『t6』は相変わらず黒一色だし。

今年度の「自分用」お誕生日プレゼントとしては、見送る方向かなあ。買っても無駄にはならないとは思うけど。あとは故障頻度と修理費用の問題だな。こんなことになるのも、全ては私の稼ぎが少ないから。いや待て。時計一つでトレーニングが進んで、ウエストが?センチ細くなれば、一昨年買ったスーツが着られるわよ。そうすれば、今年スーツを新調しなくても済むじゃない!

とポジティブに考えられるほど、私は自分を信用していないのであった。そもそも、ヨーガンレールとワイズのスーツに『t6』は合わせられないって。

年に1、2回、2000メーター級の山に登るくらいで、「登山用トレーニング」とは笑わせるなって感じではあるけれど、こういう「格好から入る」軟弱ランナーや素人ハイカーは、しかし、これから増えるんじゃないかな。『女子と鉄道』で、酒井順子が「鉄ちゃんとは異なる新たな鉄道好きの在り方」を提唱しているように、我が道を行くランナーを目指したいと思うのであった。心拍計はやっぱり欲しいのであった。

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