このところ車を見ると、これまで気にしていた車種とか色よりも、車体に傷があるかどうかに目が行くようになってしまった。ぽこぽこしている車というのが、結構な割合で存在している。そうだよねー。安心。「ガツンとやられちゃったのかー。でも修理しないんだね」みたいな車も。「どうしたらこんな場所が凹むんだろう」と、首をかしげたくなる傷もある。超絶幅の狭い車庫に、左右20センチくらいの幅しか残さずにぴかぴかの車が入っているのを見ると「職人技!」と尊敬の念が起こり、近所の見慣れた車に乗り込もうとする持ち主と遭遇すると、「あ、いかにも」「なーんだ、こんな人か」と勝手に採点したりもする。犬を飼っている人は、散歩のたびに、犬についてこんな風に考えるんだろう。

夕子ちゃんの近道』を読んでいたら、スポーツカーのことを「平たい車」と書いてあった。

「かっこいいですね」店長にいってみると頷いた。
「なんか、乗り込むというより、半地下に降りるみたいだったもんな」

うんうん。そんな感じ。

「今日あんまり寒いから、古物市、途中で切り上げちゃったよ」なんだか楽しそうだ。暑すぎるからって理由でレース中に車を降りてしまったネルソン・ピケみたいなもんですね、というと「なにそれ、よく分からないけど格好いいってこと?」といわれる。まあそうですと返事する。

なんて文もあるから、長嶋有さんはF1も好きなんだろう。

そういえば、この間やっと届いた『夢を与える』も、主人公は夕子ちゃんだった。ついでに、F1も含めたモータースポーツ番組のマスコットガールの仕事をしていた、という設定でもあった。

偶然続きといえば、この間読んだ『バルバラ異界 (1) (flowers comics)』の夢先案内人の名前は渡会時夫、今読んでいる『天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス)』には、度会美奈という人物が登場する。

でも、一番驚いたのは、先日『みずうみ』を読んでいたときのこと。第三章の登場人物が「フォッサマグナの上に位置する」「松本という町」に住んでいるという設定だった。先々週の糸魚川−静岡構造線旅行の直前だったので、ちょっと驚いた。この『みずうみ』に登場する、神話の中に存在するような湖は、だから、私の中では、糸魚川−静岡構造線上にある諏訪湖に置き換わっている。

今でこそ「ひっそり」というイメージとは遠い諏訪湖だが、その昔は、さぞかし神秘的だったに違いない。「御柱祭」よりも、「御神渡り」が見たいなあ。冬のドライブ、怖いけど。

ということで、車の話に戻る。散歩中に、22:00〜08:00まで一晩500円という駐車場を見つけた。家からも近いし、車も入れやすそう。早朝から出発するなら、前日借りてここに停めておくといいのね。

先々週のドライブには『みずうみ』『日本の地名 (岩波新書)』『系統樹思考の世界 (講談社現代新書)』と3冊抱えていったのに、結局3冊とも、読了は帰京後。今月はこれからずっと会合続きで、あまり本も読めそうにない。