これを書かなきゃ図書館に返せない(泣)
『電車男』ISBN:4104715018、中野独人、岡村慎一郎(装画)、新潮社装幀室(装幀)、新潮社、10/2004
以前は、読み終わった本は速攻図書館に返しに行ってたけど、「あそこ、なんて書いてあったっけ?」ということが起こらないとも限らないので、はてなに上げるまで本が返せない。→「取置期限本日まで」の嵐。
電車の中で酔漢にからまれかけていた隣の女性を、電車男は思わずかばって酔漢に弱弱しく立ち向かう。成り行きで連絡先を教えた電車男の元になんとその女性からお礼のティーカップが!お礼しなきゃ!でも電話がいいの?手紙書くべき?女性とおつきあいしたことがない長髪メガネアニメおたくアキバ系の電車男は、友人に相談する。その友人の名は2ちゃんねる。
いや、泣きましたよ。感動しました。なんだ、ベストセラーでも泣けるじゃん、と思った。面白かったし。
"友人"すなわち「男達が後ろから撃たれるスレ 衛生兵を呼べ」というスレッドの戦闘員達は、最初のうちこそデートのアドバイスなんかしていたが、そのうち電車男の恋愛実況トリビア爆弾を受けて逃げ惑うことに。
電車「(略)俺は冗談っぽく言って彼女の手首をつかんだ(略)」
名無「新型爆弾キターーーーーーー」
名無「ねぇ、塹壕どこ?ざんごうどこおおおおお」
みたいな。細密な文字絵をアップし、電車男のデートの帰りを待って妄想を炸裂させ、挙句の果てに、彼女のおうちで出た限定品の紅茶を買いに、銀座に出向く毒男たち。
スレッドがそのまま再録されている(もちろん編集済みだけど)からこその臨場感。そして涙でした。
しかし、最後の「後日談」でちょっと冷めたかも。このスレッド、そのまま彼女に見せるってどういうこと?(彼女は楽しんでくれたらしい)。
ばれるのが怖いからじゃなくて、多分、全部自分のこと知ってほしくて?
ねえ、どこから「彼女に見せるかも」って思ってたの?
って聞いてみたくなる。
舞台に上がるのみならず、舞台に上がったとたん立派な役者になれるなんて、このカップルはちょっと特別なのかと思ったけど、2ちゃんねると携帯で書き慣れてる人たちは、潜在的に舞台慣れしてるのかな?世代の違いかなあ、と思ったのだった。
え、実話じゃないの?
<追記>
そうそう、おたく男は乙女におすすめ、これを紹介するのを忘れてはいけない。
もう一点永倉万冶の短編で思い出したのがあるんだけど、検索しなきゃわかんないや。