本当はあまり読みたくなかった

残酷な神が支配する1』ISBN:4091916112萩尾望都小学館文庫、10/2004
残酷な神が支配する2』ISBN:4091916120萩尾望都小学館文庫、10/2004

はじめから性的虐待を加えるつもりで獲物を選び、その母と結婚した男。美しく、精神的に不安定な母を思うあまり、息子は義父の虐待を甘んじて受け入れる。こんなことが長く続くわけがない、逃げ出してやる...! しかし、もがくほどに縛めはきつくなり、彼の精神は壊れ始める...。

二巻はここまで(不覚にも二巻から読み始めてしまったので、一巻を読んだとき、冒頭のカタストロフに受けなくてもいいショックを受けてしまった)。

ポーの一族』や『トーマの心臓』と同様、ヨーロッパの男子制寄宿学校を舞台にしているのに、この違いはなんだろう。描写に容赦がない。「死や過酷な運命の中に存在する美しいもの」を、私はこれまで萩尾望都の作品の中で見てきたように思う。しかし、子供の虐待というあまりにナマな題材を、どうやって描いてゆくのだろう。

それにしても、仮面をつけて虐待する義父の姿が恐ろしい。「狂気」「悪意」、それらは降臨した神に似つかわしくもあるが。