富士山が私を呼んでいる

先週の金曜日にポカミスをしてしまったので、週末の小旅行を余儀なくされる。群馬と静岡の二者択一のうち、倉知淳唐沢なをきに敬意を表して静岡。旅行断ちをして願かけ中ではあるが、「これは出張。旅行ではありません」と自分に言い聞かせる。

日曜日、雨があがるのを待って原宿MINX Central。四年のつきあいになる美容師さんが表参道から移ったため。新店舗は、元スタジオだったという4.8メートルぶちぬきの空間に、めちゃめちゃゆったりと設備が配されている。「む、勝負をかけたな」という印象。太宰と乱歩の小年探偵団ものじゃないやつ、ブコウスキーにクリストフを読むという若手のお兄さんにシャンプーしてもらいながら読書話。『斜陽』がとってもなまめかしくって良いとのことなので、読むことにする。こちらからは伊坂幸太郎をすすめる。派手なメッシュを入れ直してもらい、やっとこれで気分は年明け。大山さんがいなきゃ、年も明けない私です。今なら彼氏と来た人は、店内にある本物のチャペルの鐘をつかせてもらえます(いや、誰でもやらせてもらえますって)。

静岡まで新幹線で移動。三島あたりでお茶を濁すつもりだったが、普通のホテルでやっていないサービスが必要で、それを快く了解してくれたホテルは一軒だけ。ということで、静岡駅そばのホテルアソシア静岡ターミナル。4、5万払う客ならともかく、日曜祝日限定割引プラン5,900円の客のためにお骨折りいただき、フロントの花岡さん、本当にありがとうございました。

お礼で宣伝するわけではないが、お部屋は清潔だったし、洗顔・手洗い専用泡のソープと、肌ざわりのよい寝巻き、底の深い浴槽は良かった。平日朝のバイキングをゆっくりいただきながら、「これだよ」と思う。

チェックアウトして、日本平からロープウェイで久能山東照宮。あっぱれな日本晴れ。富士山日和というか、太平洋日和というか。博物館で兜や刀やサンダルを見る。家康が使用していた具足がかっこいい。金箔に透漆。兜には飾り無し。兜は、丸いだけじゃなくて、へんてこで面白い形のものもあることを知る。家康のごつい手形に比べて、慶喜の手形があまりに小さくて(何歳のときに取ったものかわからないが)繊細なことに驚く。この手で幕末を生きたのか、と感慨を覚える。歴代徳川家の将軍の経歴を読むが、知っている人があまりいない。中には「生来虚弱でその発言は容易に理解し得なかった」なんて人もいたりして。誰もいない博物館の二階でベンチに腰かけて、太平洋を見ながら日記書き。
東照宮と家康の墓所に参って、再び日本平に戻る。ぽかぽかの陽気の中で富士山を眺めていると、頭が空っぽになって言葉がない。標高の高い日本平から東照宮を眺めてみたかったが、フェンスで隠れて見えない。

駅に戻って遅ればせながらガイドブックをぱらぱらめくり、思わぬ名前を発見する。そういや、星印がバスの中から見えてたよ。同じルートをバスで戻って田宮模型。いや、模型もフィギュアも特に興味はないけれど、私はショールームに目がない。大作「三笠」にはもちろん目を奪われるが、歴代の「TAMIYA/CON」(田宮模型の主催する模型コンテスト)の入賞作品が楽しかった。トリケラトプスと戦う戦車とか。「最後の瞬間」と名づけられた作品の原題は「Hans and Fritz meet Mr. Remington」。おうちに帰ったらいわくを調べよう。意外と車の模型には興味が持てず(ミカ・ハッキネンの写真が飾ってあったりするけど)、むしろ二輪がいい感じだ。車の模型を拡大しても模型にしか見えなさそうだが、二輪は拡大したら実物に見えそう。

すぐそばに静岡競輪場があって、そういや競輪て行ったことがないや、と思って入ってみる。最後のレースの30分前で入場料無料。でも一度行ったことのある東京シティ競馬とは何もかも違ってました。敗退。

眠いので寝ます。リンクを張るのはおうちに帰ってから。