秩父再訪

大学で講師をしている友人が、学生に出した課題が返ってくる前に遊びに行きたいとのことなので、5月に引き続き秩父。前回と同様、古道と山道が多い札所巡りにつきあってもらうことに。

天候は崩れる方向にあり、曇っていて歩きやすい。風も吹いている。しかし湿度は若干高め。前回は札所24番「法泉寺」で終わっていたので、バスで近くの秩父錦「酒造り資料館」まで。一旦法泉寺に戻りたいので、バスを降りてきょろきょろしていたら、運転手さんが杯を傾けるジェスチャーをしながら「飲むならあっちだよ!」。そんな真昼間から飲みませんて。とは言いながら、せっかくそばを通るのでちょこっと試飲。

ご丁寧に法泉寺までの道を往復して、秩父十三仏「宝林院」にお参りした後、小鹿坂巡礼道を歩く。眺めのよい集落あり、静かな山道あり。30分ほどして札所25番「久昌寺」。ここは、蓮の咲く弁天池が背後に控えていると聞いていたので、さぞや神秘的な場所だろうと期待していたのだけれど、門の脇に釣堀はあるし、弁天池で少年たちが釣りをしてるし、蓮をスケッチする人たちもちらほら。池の周りの空間も明るく開けていて、神秘性はないけれども、地域の人に愛されているなあ、という感じだった。古代ハスを育ててらっしゃる住職の方は、納経印をいただく間も、話すのは専らハスのこと。8月の初旬までは朝方美しい花を咲かせるそうです。

今回は山を登るわけでもなし、迷いようがないでしょ。と、例によって広域地図しか持っていかなかったら、やっぱり次の26番までの道が途中でわからなくなり、迷う。たもとに見事な柳がたっている「柳大橋」のあたりでなんだか自信がなくなり、引き返して民家で道を尋ねる。「車で送ってあげるよ」というのを丁重にお断りして、秩父鉄道影森駅までたどりついたところで今日の日程は終了。

夏休み初日とあって、荒川の河川敷で水遊びするこどもがたくさん。個人的には、荒川の河岸の緑に目を奪われる。秩父橋や巴川橋、秩父公園橋など、これまでも荒川の両岸を行き来したことはあって、これまでとどう違うのかと言われるとうまく説明できないのだけれど、柳大橋の向こう岸、武甲山のある側を反対側から眺めると、広い河川敷をはさんでいきなり、緑の木々にこんもりと覆われた高い壁が立ち上がっていて、その緑の帯が左右にずっと広がっている。いかにも「地層」を感じるのだ(→こんな感じ http://www.kumagaya.or.jp/~sizensi/event/e_repo/geo_0007/000729.html)。その他こんなページも(→http://www.geocities.jp/obt_kk/fudasho.html)。「断層」って、なんか惹かれるのよねえ。「中央構造線の旅」とか行きたいものだ。

影森、浦山口あたりの宿が取れなかったので、「日本秘湯を守る会」のネームバリューに頼って、宿は「鳩の湯」を予約。影森から武州日野まで鉄道で移動して迎えに来てもらう。12,000円〜16,000円の部屋・料理の中から12,000円のコースを選び、(このコンビにしては)高い料金なのでちょっと心配していたけれど杞憂。お部屋もお風呂もお料理も満足。

しかし、「全て世はこともなし」てなわけには行きませんでした。「ライコネンの悲劇」再び。深夜、山間の一軒宿に響き渡る悲鳴と、それに呼応するよな鵺の声。世界は完全ではなく、何かしら理不尽なところがある。と考える私はもちろん修業が足りない。