一つの終わり

F1ブラジルGP決勝。記録づくしでF1新チャンピオン誕生。弱冠24歳のスペイン人アロンソがミハエルの後継者の栄誉を受ける。

表彰台の上で涙ぐんでいたアロンソは、ほんとに初々しくて純粋で若さにあふれて見えた。勝つべくして勝ったというか、勝つ運命だったというか。でも、もし今年負けていたとしても、彼はそんなに不幸じゃなかったんじゃないか。そう思わせるような余裕というか無理のなさがアロンソにはあって、だから私はアロンソをあまり好きじゃなかった。

いつも幸福そうなアロンソに対して、1つ年上のライコネンはなんと余裕なく見えたことか。親しい人間以外とはろくに口もきかず、レース以外は何も見えず、1位以外は一律に「負け」だと見なすそのストイックさには、哀れすら感じる。勝つ運命にないものが、飢餓と欠落と才能を抱えて運命に逆らう。私はそういうものをキミに見ていました。魅了されていたけれど、奇跡は信じていなかった。ごめん、キミ。

来年は、軽々と勝ってほしい。今日のモントーヤとの1-2を見る限りでは、来期の車の開発がうまく行けばという条件付だけど、マクラーレンの未来は明るいと見た。強い若者は、いずれ年寄りを置いて成長し、遠くに行ってしまう。この1年、私の停滞の時期に、キミがつきあってくれたことを感謝しよう。

なんだかいつも自分の愚痴に戻ってきてしまうのが、ほんと、残念なのだ。
アロンソ、おめでとう。キミ、あと2戦勝ってね。ってことで。