「教官と私」十八日目(実技17日目)

昨夜も重装備のまま寝てしまった。似たような朝が何度かあった気がするけれど、もはやそれがいつの話なのか思いだせない。週末なのに道が空いているのはなぜかというと「今日は飲み会だから、みんな車置いてきてるんじゃないですか」というのがタクシーの運転手さんの回答。そういえば、私も今日は飲み会なんだよな。

火曜日から4日連続で、朝の9時には教習所。今日から実車5コマは、他の実習生と同乗して教習を受けることになる。配車券を引いてコースに降りるのを待っていると、「同じ教習ですよね」と女性に声をかけられる。少しずつ挨拶する相手が増えるのは嬉しい。「この教官知ってますか」と聞かれたので「ゴルゴ13みたいな人」と答えておく。わかんないか。いや、あたしも読んだことないんだけど。

1限目は教習生3人で検定コースを走る。これまでも練習で走ってきた道だけれど、コース通りにルートを確認しながら走るのは初めて。3人でじゃんけんして2走者目。まずは男の子が無難にまとめ、苦手な車線変更から運転が始まる。ドアミラーで確認するも、後ろの車が、これから私が入ろうとしている車線にいるのか、その隣にいるのか、なんだかわからない。まだ車間距離は十分あるように思えた。ので行こうとすると、教官の補助ブレーキと同時に「わざわざ自分からぶつかりに行くなっての」と厳しい叱責の声。やられたー。車内の温度が一気に下がる。後に運転した女性までが萎縮してしまって、申し訳ないことをしてしまった。

学科を1コマ受けて、珍しくお昼前にもう1時間余裕ができたので、奮発してカフェテリア以外のところでお昼を食べることにする。本屋で『公家侍秘録 5 (ビッグコミックス)』を探したけれど見当たらず、かわりに『誰も寝てはならぬ(4) (ワイドKC モーニング)』を発見したので、ランチのお供に。

1限で一緒だった女性と一緒に、午後からはシミュレータを使った「危険シミュレーション」の実技。教習生3人。教官は「昔ちょっと苦手だった人」。最初の男の子がかなりのんびりしていて、面白いほど事故を起こす。当初は「危ない運転してみなきゃ損だぜ」と思っていたが、事故が起こったときの衝撃音が妙にリアルで、あまり聞きたくない。おまけに、自分の番になって運転している間に、予想だにしなかったことだが気分が悪くなりはじめる。きもちわるいよー。途中から、早く終わらせることしか考えられなくなる。3番目の方のシミュレーションはほとんど見ないまま、とにかく耐えていた。

5限と6限は、実車と学科のセット教習。教習生3人。教官は、仮免前にお世話になった、自他共に認める駄洒落の人。この方が励ましてくださって、S字ができるようになったんだよな。久しぶりに路上で運転をみていただいて、「いやー、上手になったねえ。度胸あるんだねえ」と存分に持ち上げていただく。仮免前にお世話になった教官から必ず言われるのがこの「度胸がある」というセリフ。これって「この技術で路上に出て怖くないとはなんたる度胸」っていう意味なのかなあ。例によって車線変更でまごまごしていたら、どうやら後ろのトラックがライトを点滅させて入れてくれたらしい。これまでも何度かあったことなのだが、私が自分で気づいたことはなく、もちろん自分でお礼をしたこともない。「気づき方」と「お礼の仕方」、教官に教わっておけばよかった。

夕方からは公式宴会。この宴会と安岡秀徒君のクリスマス・パーティが、昨年ブログを始める引き金になった。あれから1年ってやつである。予備校でお世話になった先生方との宴会なので、いつも恐れ多くて畏まっていたのだが、もう少しリラックスして話すことにする。「とりあえず畏まってればいいや」というのではなくて、もう少しきちんと向き合いたい。二次会は失礼して、同期の子と家の近所のバーで1杯。常連さんの仲良しすぎる雰囲気はちょっと。でも思っていたよりも全然食べ物が美味しかったので、今後たまに利用するかも。(12/11)