「コーラス」に、西村しのぶが参入していてびっくり。しかも新連載ではなくて、どこかから引っ越してきた『アルコール 1 (YOUNG YOUコミックス)』(お、19日に2巻発売)。この人の場合、掲載誌のカラーと合うかどうかなんて二の次なんだよな。それでも集英社系の顔ぶれの中に入ってくると新鮮。別のところで連載している『RUSH 3 (Feelコミックス)』は、とうとうアキミツが住吉センセエに宣戦布告。愛人三つ巴が「それで?」って感じの西村作品で、とうとう泥仕合が?『君のいない楽園 1 (マーガレットコミックス)』連載終了。購入はしてなかったけど、連載は毎回楽しみにしてました。ちゃんと収まるべきところに収まったので満足である。いつまでも無理なく「少女マンガ」を描き続けられる佐野未央子、さすが(大人向け少女マンガなのかもしれませんが)。

このところ立て続けに山本幸久を読んでいる(『凸凹デイズ』『男は敵、女はもっと敵』『はなうた日和』)。この人、ちょっとツボ。ざっくりすっぱりな女の人を描くっていう意味では平安寿子とかとも共通するんだけど、もっと後味すっきり。決してべたべたしない、でも温かいところは、田辺聖子をもう少し若くして、東京風味にしたような、いやむしろ、今は亡き永倉万治を連想するのよね。顔を上げてまっすぐ前を見て歩く女の人、潔い人、「こんな女の人になりたい」って思うような女の人が出てくる。

このところ読んだのは、『ネクロポリス 上』『ネクロポリス 下』。『月の裏側 (幻冬舎文庫)』と同系列。死者と生者が相まみえる、特別な時間と場所。でも、邪悪な死者が境界を超えて、生者の世界に入り込んでしまったら?今回は一応、ちゃんと風呂敷畳めてましたね。イギリス旅行の成果がこんな風に表れるとは。『酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記』を読んだのが無駄にならなかった感じ。あ、『文学刑事サーズデイ・ネクスト〈1〉ジェイン・エアを探せ! (ヴィレッジブックス)』を思い出した。続編出ないかな。

いつのまにか3作目『刑事の墓場』が出た首藤瓜於の『事故係 生稲昇太の多感 (講談社文庫)』も読んだ。ミステリ系の賞の中ではアンチスタイリッシュ度No.1の江戸川乱歩賞受賞作の中で、『脳男 (講談社文庫)』は結構面白かった記憶があったので。本書は『脳男』とはうって変わって、岩のようなカオの新人熱血警官が、冷静でハンサムな先輩、味のある上司に見守られながら、「自分が今やれることを、地道に積み重ねていく」ことを日々学んでいく成長物語。事件によって新人警官が鍛えられて、という話は珍しくないと思うが、主人公生稲昇太の悩みや失敗のことごとくが、若さゆえの独りよがり、予断と偏見によってもたらされる点が特徴となっていて面白い。彼はそのたびに、自分の未熟さと向き合わされ、それを痛みとともに受け入れていく。きっと続編あり。ドラマ向きでは?

永嶋恵美『一週間のしごと (ミステリ・フロンティア)』。警察沙汰は、警察が嫌いでも警察にまかせなさい、という話?ではなくて、「信用できるのは誰か、それが問題だ」という話。その問題はもちろん、一生にわたって問題であり続けるわけだけれど、自らが力を持たない分、当事者が子どもである方が事態は切実だ。この手のものを読むと、「ああ、よかった。もう子どもじゃなくて」と思う。同じミステリ・フロンティアの『少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)』なんか、劇的にかわいそうだったもの。桜庭一樹ほど華はないけれど、この人の文章はニュートラルで信用できる。起こった事件自体はえぐい。

「傑作」とどこかで書いてあって、東欧物でもあったので『嘆きの橋 (文春文庫)』を読む。1948年当時の、東欧の架空の国の警察が舞台。警察学校を出たての新人捜査官が、同僚から手ひどいいじめを受けるところから話が始まる。やがて起こる殺人事件。次期書記長候補の影が見え隠れし、主人公は封鎖された西ベルリンへ...。傑作というほどかどうかはともかく、本書は5部から成るシリーズの第1作で、シリーズを通して、冷戦が始まってから終焉を迎えるまでの50年が描かれるというその試みには期待が持てる。訳者の村上博基は、ル・カレを訳してきた人。関係ないけど『エロイカより愛をこめて (1) (プリンセスコミックスデラックス)』は、このところ読んでいない。

突如日記に戻って...。この日記にもちょくちょくコメントを書いてくれる友人が、ついにはてな参入(http://d.hatena.ne.jp/scinobina/)。これまでブログを薦めた知人たちにもあえてはてなは推さなかったけれど、彼女がもしはてな以外を選んだとしたらむしろ不思議に思ったことでしょう。そうか、アンテナにまず「絶対毎日スエイ日記」を入れましたか...。

ライコネンのビデオと坂角総本舗の「八楽」ありがとー!決勝見たら、また感想書きます。まずはお礼まで。