F3観戦@岡山(一日目)

徹夜明けなのに意識清明。こういう、「ひょっとしたら、もう自分に睡眠は必要ないのかもしれない」と錯覚するようなハイな感じは、たまにある。数日後、正気に返った途端に倒れふすのだが。

無事に「雑用」を終わらせて送信し、羽田まで電車で移動する。箱崎のTCAT経由のリムジンバスを試す余裕は今日もなかった。羽田でいつもの方々と合流し、JALで岡山に移動。今日の旅行先は全日本F3第7戦・第8戦@岡山国際サーキット鈴鹿富士スピードウェイ、もてぎ、SUGO、美祢に続いて、国内のサーキットとしては6番目の訪問地になる。この後8月には、大分のオートポリス行きも控えている。

1時間強で緑の濃い岡山空港着。レースを見るようになる前は、ひこーきに乗るのはかなり非日常的な出来事に属していたのが、いまや、淡々とチケットを予約し(今回はJALマイレージ)、前日に搭乗時間を確かめるだけである。自分の中でルーティン化してしまえば、「仕事しなくちゃ」というもっともな心の声に心を乱されることもない(と書いておこう)。

サーキットに向かう道中は「レースウィークを間違えたんじゃないか」と錯覚するほど車がいない。予報に反して、もはや当たり前になりつつある雨に迎えられる。木・金に行われた合同テストでは、安岡秀徒君の順位は8位。このポジションがいいのか悪いのかは、金曜の段階では判断がつかなかった。第7戦・第8戦の予選結果はそれぞれ7位、6位。しかし、1位からのタイム差が0.3秒まで縮まったのはこれが初めてだそうで、上位を狙えるポジションに来たことが実感されるのは嬉しい限り。

肝心のレースは、何度目かのリタイアを喫してしまったけれど、今シーズンの中では一番納得のいくレース運びだった。このところ調子が悪かったスタートもうまく行き(前の大嶋君はストール)、いつもスピードが落ちてしまう中盤以降も3,4,5,6位集団にぴったりつけて、7位をキープ、マシンも好調なようだ。しかし、チャンスに仕掛けたオーバーテイクでクラッシュ。3コーナーで車を降りる。たらればは言わないことにしているけれど、今回は「本気で」いいところまで行けると思ったんだけどなあ。

今回の宿は「かんぽの宿美作湯郷」というところ。サーキットからうねうねと曲がりくねった山道を抜けると、いつのまにか車は、水量の豊かなゆったりと美しい川沿いの道を走り始める。穏やかな夕暮れ。湯郷の温泉旅館街を抜けて、目指す宿は丘の上。部屋からは緑と空、町というほどのこともない家々の集積が見渡される。当方だけ一人部屋を手配しているので、8畳+諸々のスペースを丸々一人占め(当初は2人入るということで予約していたので、差額を取られたけど)。空間が開けていると、時間までがゆっくり流れるようだ。

食事は、下界まで降りて、吉野川沿いの「田能久」という蕎麦&地鶏料理店。古民家を移築した建物に和洋のアンティーク、BGMはジャズというなんともおしゃれな空間。夕暮れの庭を見ながら、炭火で地鶏を焼き、蕎麦を食し、ちょっとお酒も飲む。店主も感じがよく、和やかでくつろいだレース後の夕べ。「レースに勝った暁には、和やかなんてものじゃなく飲みまくってやる」と思っているのは私だけ?

宿に戻って、大風呂がダメな当方は、予約した家族風呂へ。せっかくなので、なるべく長く湯につかろうと思うが、どんなに耐えても1回3分が限度。それでも露天風呂と行ったりきたりして、30分くらいは時間をつぶす。読みかけの『阿部和重対談集』はメモを取りながらでないと読めないので、椅子に腰掛けて読み進めるのだが、ついうとうと。で、はっと目が覚めると2分くらい経過している。さっきのお風呂の中でも思ったが、ここは1分が経過するまでの時間が異様に長い。なんだか、読書をしている夢を見ているような感じになってきたので、あきらめて布団にもぐりこむ。時刻不明。長い1日の終わり。(06/20)