久しぶりに徹夜したので、15:00過ぎに起きた。フィギュアスケート観損ねた。今回のフランス杯については、美姫ちゃんが出場しているので、テレビ朝日はそこそこやる気の放映モード。前回の中国大会なんて、地上波は、土曜日に2時間流したのが全てだったものね。「放映権取ったのは視聴率が見込めるからで、フィギュアスケートへの愛は特にありません」っていう姿勢を隠そうともしていない。ここまで臆面ないと、BS朝日を見られない自分の方が悪いのかな?って反省したくなっちゃう。

このところ骨董市で着物を探すのに凝っている友人が泊りがけで東京にやってきたので、宿泊先の浅草まで晩ご飯を食べに行く。個人的には「乙姫」という沖縄料理屋に興味があったけれど、今回は友人の友人も一緒だったので、宿泊先からほど近い「浅草マノス本店」のロシア料理に決定。ロシア料理屋といえば、雰囲気はどちらかといえば「暗い、重い、静か」というのが定番だったように思う。しかし、この店は違った。店内に足を踏み入れると、歌謡曲が流れている(!)。照明は明るい。マトリョーシカと一緒に倖田來未の写真集やポスターが飾られている。そして、我々3人でちょうど満杯になった店内で、皆大いに食べていた。しゃべっていた。どちらの点でも、舌の動きが良さそうであった。

ロシア料理は初めてだという年若い友人の友人に一式食べてもらいたいのはやまやまだが、コースが5千円からというのはちょっと予想外。メインの種類によっては、さらに料金上乗せになる。ビーフストロガノフとキャベツロールは選択制だし。アラカルトも結構良いお値段なので、「つぼ焼きとボルシチは各人どちらか選ぶので、それにロールキャベツとお店のお勧め、食後のチャイ、以上で各人4千円になるように見繕ってください」とお店の方にお願いしてみた。貧乏人はあまり来ない店なのか、「少々お待ちください」ということで、店長さんに取り次がれる。「じゃあそれに、サラダとコロッケをつけてみましょうか」と快く応じていただき交渉成立。当方は、これにお酒を1杯プラスして5千円という心積もりでいたのだが、明日お買い物を控えたお二人さんが飲まないというので、こちらも合わせた。

お料理、美味しかったなあ。つぼ焼きなんて、これまで「シチューにパンの蓋がしてあるだけじゃん」と思ってたんだけど、蓋を開けたらそのシチューがびっくりの美味しさ。ロールキャベツも甘くてジューシーで。黒パンもピロシキもパテもおかわりしたいくらいだった。舌が陽気になる料理だった。

思ったより暖かい晩だったので、帰りは家まで歩いた。駒形橋からの夜景は、永代橋清洲橋からの眺めに比べると、艶めいて見える。橋を渡ってしまえば、後は清澄通りを南下するだけである。「この通りをまっすぐ行けばおうちに着く」と思うと、距離感はかなり短縮される。家の近所を走る清澄通り永代通り葛西橋通り、三つ目通り、それぞれを伝ってどこまで行けるか、ちょっと調べてみようっと。角田光代が「飛行場はどこでもドア」であると書いていたけれど、私は、夜、高速道路への入り口を示す緑の掲示板を見ると(ことに、人気のない道路で、暗い空を背景に緑に白の文字が浮き上がって見えたりすると)、強烈な「ここではないどこか」への誘惑を感じる。異界への扉は、こんなにもたくさんあったのだ。

小さめのワンショルダーバッグに、図書館から借りた本を2冊抱えていたので、カメラは持っていたけれど、写真は撮らなかった。家まできっかり1時間。行きはタクシーで1,200円くらい。思ったよりかなり近い。それにしても、家から最寄の駅まで10分くらいはかかるのに、どうして浅草までは60分?家から駅までの6倍で、一つの達成感を感じる程度の距離に到達するのが不思議だ。清澄通り沿いに、まだ路線バスが走っていた。移動手段によって、時間の流れが違う。夜はさらにずれる。異なるパターンを探す作業は好きだ。治安が悪くて、夜一人で歩けないような都市の住人は気の毒だと思った。