樋口さんと焼そばを食べながら、私は本と偶然について考えていました。
たとえば、自分が長年探していた本と出会うこと。あるいは、ちょうど歩きながら考えていた本が、ふいに目の前に現れること。買って帰ったまったく内容は関わりのない何冊かの本の中に、同じ事件や人物について書かれた一節があるのを発見すること。甚だしい例では、昔に自分で売った本が古本屋を巡って、自分のところへ帰ってくることもあるそうです。
これだけたくさんの本が売られ買われて世を巡っているのですから、そんな偶然があって当然かもしれません。我々は無意識のうちに本との出会いを選んでいるのでしょうし、あるいは我々が偶然だと思っていても、それはたんに錯綜する因果の意図が見えないにすぎないのかもしれません。そう頭で分かっていても、本を巡る偶然に出くわした時、私は何か運命のようなものを感じてしまうのです。(『夜は短し歩けよ乙女』)

この文の後に書くのはしのびないけれども、今年の本を巡る初シンクロは『化物語 上』に出てきた「私立直江津高校」だ。この間旅行で、直江津を通ったばかりだからね。第二弾は、さっきたまたま「風林火山」にチャンネルを合わせたときのこと。今日借りてきた『砂楼に登りし者たち』を開いたら、目と耳に同時に「勘介」という名前が飛び込んできた。ひょっとして同じ人?この本は、小さな書影を見た感じでは西洋のタペストリーみたいなのに、描かれているのは日本の若武者なのね。

トップランナー」でBoAちゃんを見ていたら、本を読む手も止まってしまっていた。面立ちも歌唱力も、「ちょっと歌の上手なかわいい女の子」から別人のようになっていた。もはやかわいいビジュアルを必要としないほどの歌唱力。はっきり言って、昨日のシカオちゃんのライブ映像よりも感動してしまった。