静岡から糸魚川まで(3日目その1)

7時半起床。多少眠いけれど、とってもさわやか。お天気も。8時半にチェックアウト。

走り出してみると、さわやかというよりは、強烈な陽射しでむしろ暑い。梅雨の晴れ間の蒸し暑さ。またカーナビを適当に聞き流していたら、3度目の袋小路入り。でも、普通の住宅地と街路だったので、あまりどうということもなく帰って来れた。住人が何事かと見に来てたけど。

カーナビというものが、つくづく鬱陶しくなってきた。ある地点からある地点まで、まともな道を最短で、という場合は役に立つ。現在地の表示もなかなか便利だ。しかし、私のように、珍しい神社の表示にふいっと横道(農道とか林道とか工事中の道とか)に入ってしまうタイプは、元に戻るのにカーナビをあてにしていると、ひどい目に遭う。わからないならわからないと言ってくれればいいのに、なぜかこういうとき、カーナビは嘘の指示を出し続けるのだ。安い機種だからなのだろうか? やっぱり、頭の中に情報をきちんと入れておいて、わからなくなったら面倒がらず、どこかで停まって確認する、という習慣をつけたほうが良さそうだ。

といっても、私だって何もかも100%カーナビにお任せしているわけではなく、事前に地図を見て確認はしているのだ。しかし「〜号線を北上して、〜の交差点で左に折れるのね」と頭に入れたつもりが、実際走っていると、「この数字ってこれで正しかったんだっけ」「なんで〜の交差点が現れないの」「なんで私、〜方面に向かってるの」ということになってしまうのはどうしてなんだろう? 短期記憶が欠落してるのか?

走っている間にカーナビで現在地を把握する、というのもなかなか大変。縮尺を変えるためには停止しなければならないし、高速道路でなくても、一直線80キロ道路みたいなところは、ほとんど信号停止もなかったりする。逆に言えば、ドライブ最適道路ってことでもあるけど。松本の市街地を離れてからは、犀川沿いの19号、高瀬川沿いの306号、本筋の148号に入ってからも、この日はずっと、そういう飛ばしっぱなし道路だった。これで北アルプスが見えていれば最高だったのになあ。

昨日ダブル林道越えで車体がかなり汚れているので、給油のついでに洗車もお願いしてみた。初洗車。キャンペーンで1000円とあったけど、これって安いのだろうか? ガソリン代は19.00l@141で2,679円。

昨日涼しかったので手袋を外して運転したのがいけなかったのか、手のひらが若干痛い。切り返しとカーブの連続が原因とみた。あと、手のひらが若干、凝っているような気がする。そんなことがあるのかどうか知らないけど。左手のみ。未知の体感がここにも。

いよいよ糸魚川街道に入ると、左手に感じのよい湖が。木崎湖。小説に出てくる「夏の避暑地」風。先の青木湖はそんなでもない。このあたり、学生時代に青春18きっぷで通ったことがある。真冬で、南小谷の駅だかで降ろされて、駅のあたりを歩いたなあ。あのときも、松本に泊まったんだった。夜中に電話ボックスから古い旅館に電話を入れて。

新潟県の標識を見たときは、ちょっとぐっときた。東京、神奈川、静岡、山梨、長野を通り抜けて6県目である。

今回、高地のドライブにはつきものだということがわかったのが、長いトンネル。これは、暗いところでの視力に自信がない私にとって、結構つらい。前にゆっくり目の車がいれば良いが、渋滞でもない限り、トンネルの中でわざわざスピードを落としてくれる車はいない。かくして、壁と対向車を普段にまして恐ろしく感じながら、後続車に追われて駆け抜けることになる。長いトンネルがいくつも続いて、ライトを消している暇がない。対向車がライトをつけている間は、前方にまだトンネルがあるということだ。最後のトンネルはどこにあったのだろう。

やっと根知駅の表示が現れ、右手に「フォッサマグナパーク」の駐車場が見えた。右折して車を停める。ちょうどお昼。休憩中の車が結構たくさん。朝食をとっていなかったので、昨夜買っておいたおにぎりを持って、久しぶりに車の外に出る。といっても実は2時間ぶりなんだけど。なんだか、とっても遠くに来たような心持ちがする。

フォッサマグナパーク」は、展示館などは特になく、根知川ぞいの断層露出地点を巡る遊歩道が整備されている。数百メートルの間に、「フォッサマグナのできかた」「フォッサマグナ地震」等の説明板が点々と並ぶ。この間地震のあった能登半島なども「地震の力を起こす力」が強い地域としてしっかり分類されていた。「糸魚川-静岡構造線の露頭」という説明版には、糸魚川-静岡構造線の比較的観察しやすい場所として、ここを含めて5箇所が紹介されていた。昨日見た新倉断層以外にも、小谷村、小淵沢町武川村(いずれも旧称か?)が挙げられていた。次回遊びに行ってみよう。


ここには、「日本最大級枕状溶岩」というのもあって、海底火山の噴火でできたものだという。

断層露頭自体は、補強がなされていて、「なんで新倉みたいに自然のままじゃないのかな」と思ったら、粘土質の断層破砕帯がもろいため、発見当時のまま残すことができなかったとのこと。そういえば、七面山にも、派手な崩落箇所があったなあ。他の人の観察記録を読むと、断層の左と右とでは、手触りが全然違うと書いてある。触ってみればよかったなあ。



ぶらぶら引き返していたら、踏み切りの警報音が聞こえてきた。遊歩道の途中に、大糸線を真上から見下ろす地点があるので、急いで走っていったけど、ちょっと間に合わなかった。息をはずませてカメラを構えているところに、3人連れのお嬢さんたちが通りかかって、ちょっと恥ずかしかった。

もうここは糸魚川市なので、最終目的地の「フォッサマグナミュージアム」も目と鼻の先。小高い丘一帯が公園として整備されていて、ミュージアムは公園の東端に位置する。長者ケ原考古館との共通入館券が600円。改めて周りを見回してみると、親子連ればかりだった。

石専門の博物館は初めて。あまり科学系に縁がないし。でも、展示室の最初に展示してあったのが隕石の仲間で、ぐっと引き込まれる。貴金属より鉄とかのほうが惹かれる。隕鉄に初めて触った。重くてかっこいい。闇の中で光る石がきれいだったので、写真を撮っていたら、近くで見学していた子供が、「あの人が写真撮ってるから僕も撮る」と言い出した。親は「ダメだよ」と言って、こちらを非難するように見る。こういうところは、撮影禁止ならその旨掲示を出すだろうから多分大丈夫なはずと思って撮り続けていたら、子供が「お父さん、確認してきてよ」とぐずりだした。が、親は面倒なのか動かない。仕方ないので確認しに行ったらやはりOKとのこと。そう伝えると、ちょっとばつが悪そうにしていた。

ヒスイは、もっと緑なのかと思っていたら、原石は全体としては白っぽかった。昔見た、マヤだかインカだかの真緑のイメージが強かったんだけど。おっと、国立科学博物館で「インカ・マヤ・アステカ展」をやるらしい。タイムリー。

それでも、古事記の昔からこの地のヒスイは人々を魅了してきたのだ。美しい、ヒスイで身を飾った姫の伝説が残る。




帰りはミュージアムで、隕石のかけらと「4D MASTER」というパズルシリーズの「ASTRONAUT」を買ってきた。水入りメノウとちょっと迷ったけど、岩石や化石は、これから少しずつ好みを見つけよう。石の中庭には水琴窟なんかあったんだなあ。なんだかいろいろ見損ねた。また次回。黒曜石めぐりもいいなあ。

敷地を出て市街地へ向かって坂道を下っていたら、遠方に海。二日がかりで太平洋から日本海に来たよ。

途中、「ヒスイ」の名前に惹かれて「翡翠園」と「ヒスイ王国館」に立ち寄ったけど、思ったほどではなかった。たぶん、みなと公園というところのそばで、日本海を眺めた。防波堤の内側からだけどね。予想に反して晴れた日本海だった。私の行くところに比較的よく出現するセメント工場を写真に収めて、糸魚川の見納め。これから帰る。