香港・マカオ旅行二日目（その1）電器店はどこに？
目覚ましであっさり目が覚めて、9時に起きる。ミネラルウォーターでコーヒーをわかして、昨日の機内食のパンで胃を覚ます。今日はとりあえず、マカオに移動だ。マカオ・フェリー・ターミナルまでは少し距離があるけれども、この荷物の量なら、十分歩いて移動できる。博打に備えて、いつになく徒歩モードの私である。ていうか、香港の街は、歩くのが楽しいのだ。坂や路地が入り組んでいて、何もかもごちゃまぜで。豊かな色彩の中に、貧しさや汚さまでもが堂々と居座っている。開放的なのに、目の届かない隙間が無数にあって。プリント地じゃなくて、織られた布の手触りがある。
同じ通りのドラッグストアでコットンと「ビオレ化粧落としシート」を購入した後、朝食は、昨夜目をつけていたその近所のカフェ「Gardens」に入ってみる。にこやかなお兄さんにトーストとカフェオレを注文。たっぷりのカフェオレが美味しい。住民らしき人たちが、新聞を読みながらちょっと食べたり、お惣菜を買っていったり。PCも一台置いてあった。静かで感じのよいスペースだった。ここで本が一冊あれば！ 仕方ないので、現地の芸能誌でアンディ・ラウを探す。「強い男は才女が好き」とかって書いてある。この、アンディの横にいる「才女」って誰なんでしょ。案外に、日本の芸能人の話題が多い。昨日のMTRの車内で前の座席の人が読んでいた新聞にも、土屋アンナが1面フルに使って掲載されていた。いろんなところで、ラベルもそのままの日本製品を見かける。3年前にもまして、日本は近い。若者については、もはや格好や仕草で国籍を見分けるのもちょっと難しい感じ。大声で話す人、大荷物を抱えた人、服の取り合わせが頓珍漢な人、そんなには見かけない。ちょっと寂しい。
iPodとヘッドフォンで装備を整え（ほとんどの若者が携帯かiPodを手にしているのは、日本と全く同じ光景）、カメラを片手にエスカレーター脇の階段を下りていく。いいお天気。ちょっと暑いくらい。ぶらぶら下りながら、電器店を探す。何を探しているかというと、成田で買い損ねたPC用の変圧器。それにプラグ。昨夜だけでPCのバッテリー容量が半分になってしまったので、あと数日使おうと思ったら、充電しないわけにはいかない。成田での電器店の店員は、こちらが見せたエプソンのアダプタを見て、「この機種だと、変圧器も難しいんですよね」と、深刻な顔をしていたっけ。
中環ど真ん中まで下りてきたものの、目指す電器店が全く見当たらない。そういえば、こちらに来てから、家電を扱ってる店を1軒も見ていない。香港島の中心街で洗濯機を買う人はいないってことかしら？ 日本の繁華街は、家電量販店に侵食されまくってますが。なんかごみごみした雰囲気に秋葉原を感じて「World Wide House」（環球大厦）という建物に入ってみたところ、さらなる異世界出現。歩いているのは、東南アジア系の女性ばかり。貴金属店に食べ物屋、携帯ショップと両替商。どうやら出稼ぎに来ているフィリピン系の方々のメッカらしい。電気製品を扱っている店で、「日本のPCをこっちで使いたいんだけど」と話すと、プラグを出してきて「ユニバーサル。20HK$」とのこと。transformerという言葉を知らなかったので「電圧を変える器械も欲しい」と尋ねてみるが、「ここでは置いてないよ」という返事。フィリピンの女性連は気がつくとそこら中にあふれ出していて、昨夜IFC側から渡ってきたペデストリアン・デッキにシートを敷き詰め、おしゃべりに余念がないのだった。
今日は海に向かってその高架歩道を渡り、IFCのショッピング・モールへ。こちらの電器店街は打って変わって、iPodやらソニーやら、AV系のおしゃれな製品が並ぶ。その中の1店舗で事情を話し、「どれ、アダプタを見せてごらん」と言われて差し出してみると、「このアダプタ100-240V対応だから、プラグさえ変えれば、別に変圧器要らないよ」とのこと。えー？ほんとなのかしら。成田でのあの、さも悲観的な対応はいったいなんだったんだ？ バッテリー残量を気にする前に、ホテルでその辺もうちょっとちゃんとぐぐっておけばよかった。とまれ、PCには不安が残るが、それ以外のiPodとか携帯とかについては、プラグだけ差し替えて充電してほぼ問題はなさそうだ、という感触を得る。日本で大枚はたいていろいろ買い込まなくてすんだのは、ラッキーだったかも？
スターフェリーの乗り場を通り越して、マカオ・フェリー・ターミナルまで、海沿いの高架を歩く。私の大好きな、水辺の人工物にあふれた風景。橋、船、タワー。手を伸ばせば届きそうな対岸。桜島と関門海峡を見て育った感覚は、そう簡単には動かない。その中でも、香港の水辺の持つこの豪奢さ。昼も美しい。ましてや、気持ちのよい海風に頬をなぶられつつ歩くこんな午後には。
