コッポラの胡蝶の夢』は、エリアーデの小説が元になっているらしいというので、見ることにする。もう一つ、意外なところでエリアーデの名前が。

...SFマガジンのインタビューでは、好きな小説としてフィリップ・ソレルス『秘密』、ミルチャ・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』、スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』、ジョン・ヴァーリイ『スチール・ビーチ』をあげられていましたが...
「著者インタビュー:円城塔先生」http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/071001.shtml

ますます円城塔を読む気になった。ちなみに『Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)』は、大笑いしながら読むものらしいのだが、たまにくすっと笑うくらいだった。読んでもわからないものを、二度読み返して退屈しないというのも、私にしては珍しい。

たまたまその後読み始めたのが『ディスコ探偵水曜日〈上〉』で、未来と過去が分岐しつついったりきたり、みたいな話なので、毛色の違う続編を読んでいるような錯覚に。

ちょっと一休みして『RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)』と『不連続の世界』。荻原規子は、昔1冊何か読んで2冊目。ヒロインは熊野の山奥の神社の跡取り娘。とはいっても、巫女になることを望まれてはいない。山奥で暮らしているせいか、引っ込み思案で、成績がいいわけでもなく、運動音痴。それなのに、父からは東京の高校に進学するよう勧められ、父の若作りの友人からは、出来のいい息子を「下僕」につけるとの提案が。母は公安で所在不定、父はITでカリフォルニア。そして、バックグラウンドには、仏教にも神道にも本来属さない修験道の世界。これは本当に、シリーズ化が楽しみ。何より一番の売りは、設定のあざとさに似合わない、爽やかで優しい作風でしょうか。

恩田陸不連続の世界』は、マンネリ寄宿学校ものから離れて、北へ南へ旅する主人公多聞とともに、少し不穏な謎解きにおつきあい。まとわりつく死の気配。しかし、あくまでも他人事であったはずの「死」は、実は多聞のすぐそばにあったのだった。「現実を見なさい」...

という言葉に、経済学の本の中で再会するとは。『不謹慎な経済学 (講談社BIZ)』から引用。

「日本人の一つの欠点は、余りに根本問題のみに執着する癖だと思う。この根本病患者には二つの弊害が伴う。第一には根本を改革しない以上は、何をやっても駄目だと考え勝ちなことだ。目前になすべきことが山積して居るにもかかわらず、その眼は常に一つの根本問題にのみ囚われている。第二には根本問題のみに重点を置くが故に、改革を考え得る場合にはその機構の打倒乃至は変改のみに意を用うることになる。そこに危険があるのである」石橋湛山

思考が現実を動かすと思っているけれど、そういえば私は「思考」と「理想」をごっちゃにして、ついでに「理想」に重きを置きすぎる傾向ありかも。「現実そっちのけ」も一概にいけないとは思わないけど、でも、自分の立ち位置としては、両者が区別できていないのは嫌かも。「漸進的」ね。ちょっと変えてみようかな。

今週こそ、水曜日に映画に行けると良いのだが。『コッポラの胡蝶の夢』『ダークナイト』『12人の怒れる男』『ウォンテッド』のどれか2本。