NHK杯女子シングルフリー

真央ちゃん、素晴らしい。奇跡の4分間。今日の「仮面舞踏会」、個人的には、トービル&ディーンの「ボレロ」とどちらが上か、といったところ。まあ今日は、プログラムのラストに微妙な変更があったらしいので(笑)、歴代1位の期待はグランプリファイナルに持ち越すことにしよう。

演技の素晴らしさもさることながら、「浅田真央」という個性に、いつもながら驚かされる。これまでもフィギュアスケートに天才は現れたし、名花と呼ばれる美しいスケーターは、今後もまた現れるだろうけれど(キム・ヨナの魅力的なこと!)、浅田真央という女性は、スケーターというよりは踊る人であり、さらに言えば表現者であり、創造者の域に近い。あの、ぬいぐるみのような犬を抱えてあどけなく笑っている姿からはとても想像できない、新しい表現への意志。同性として尊敬せずにはいられない。

タラソワコーチに師事したことに対する危惧も、今日で払拭。2週間前のエリック・ボンバール杯で、ジャンプの失敗により細切れにされ、その重量感ばかりが悪目立ちした「仮面舞踏会」が、今夜は、曲本来の豪奢さを取り戻し、さらに、同じ曲調が続いていくことによる酩酊感をもたらした。

2週間後のグランプリ・ファイナルで、真央ちゃんが今日以上の滑りを披露できるかどうか。去年は、プログラム自体が、少しキム・ヨナのものに対して見劣りしたような気がしたが、今年は、少なくともプログラムに遜色はない。小手先では真似のできない技術と芸術性と。真央ちゃんは、よくわかってる。彼女がどこの国の選手であったとしても多分応援したとは思うが、たまたま同国人だったことは嬉しい。彼女の演技を見ることができて、幸せだ。