繰り返し読むということ

<不良>のための文章術 (NHKブックス)
『<不良>のための文章術』永江朗著、日本放送出版協会、06/2004

本の感想を書くのに異様に時間がかかってしまうので、なんとかもう少しシステマティックな作業にできないかと思って読んでみた。毎日職業的に書かざるを得ない環境にいれば、修業も積めてしまうのかもしれないが、日々のウサを読むことで紛らわせている身としては「修業」なんておぼつかない。日々のウサを酒で紛らわせているヒトが、飲んだ後は酔いつぶれて寝てしまうだけなのと一緒で。...それでも、書きたいと思ってしまう情けなさ。

この本の構成は以下の通り。

Ⅰ <不良>になるための心がまえ
Ⅱ 本の紹介文を書こう
Ⅲ 取材して書く
Ⅳ コラム・エッセイを書く<不良>=プロ、つまり書いて稼ぐ人のための本という前提にはなっているけれど、日記書きはいきなり署名原稿を書かせてもらっているようなものだもんね。プロだけのものにしておくにはもったいない「書くためのあれこれ」が意外なほど細かく書かれていて、座右の書になりそうなのだ。

各章で、いかにも素人っぽい例文がまず提示される。その例文の問題点を一つ一つ指摘した上で修正が加えられていくのだが、その指摘が細かい、的を射ている。何よりも「こういう風に考えるのか」という考え方がわかる。修正済みの例文はまさに見違えるようだ(素人の文章とプロの文章の書き分けが上手というべきでしょうか)。

片手間でなく丁寧に作られた本なので、自分は不良でもプロでもないや、という人も、へたな文章指南の本を買うよりこちらを買った方が絶対得だと断言できる(入試・入社試験対策は除く)。

どのように素晴らしいのか具体例を挙げられなくて申し訳ないけれども、私が自分自身のために頭に残した点は以下の通り。

(1)まず再読ありき
(2)なるべく漢字を使わない
(3)指示代名詞には要注意
(4)体言止めに注意
(4)気のきいた言いまわしに注意

気取り屋の私にはしんどいけれど、素の自分のままで書くこと(素の感想を書くことじゃないよ)が誠実で良い文章につながると書いてある。「素の自分」。直視できん。