どうやってもずれてしまう

「ありときりぎりす」っていう童話が昔から嫌いだ。というか怖い。自分のことだとしか思えない。

でも「本当に困る前に対策をたてよう」とすると、私の場合、「相手がものを言い終わる前に、こちらが言うことを考えよう」というのと同じくらい、空回りに終わる気がする。つまり本当には困っていないというか。困っていることに慣れすぎているというか。あるいは困るバリエーションを数えるのに熱中するというか。あるいは痛覚が鈍いのか。

唐突に、井上陽水の「とまどうペリカン」を思い出す。

あなたライオン、たてがみゆらし、ほえるライオンお腹を空かせ、
あなたライオン、わたしはあなたを愛してとまどうペリカン

という歌詞を聴くたびに、「そりゃとまどうでしょうよ。お腹すかしてるのよ。食われちゃうでしょうよ」と思っていたのだが、正確にはどういう意味なのか、今改めて考えてみるとよくわかんない。例によってまたミョーな回路をつないじゃったのかしら。しかし、美しいメロディーに乗せて、さんざん見当違いの悩みをうっとりと歌い上げるおばかさん、というイメージがあまりにもぴったり来てしまって。

歌ってる間に頭からばりばりだよ。