九日目

昨日は異様にテンションが高くて眠くならず、1時間しか寝ていないにもかかわらず頭が妙にクリアな状態で、朝から教習所。実技八日目。

1限目はまた知らない先生。教官の平均年齢がどのくらいか知らないが、20代の先生はかなり少ないような気がする。というので、所内でも目立っていた若くて顔がきれいで薄幸そうな先生。ついでに口を開くと酷薄そう。何か注意を受けて教官と向き合うと、寛容さや優しさのかけらもない大きくて色素の薄い双眸が、非難の色に満ちみちてこちらを見ているのであった。そんなにきれいな顔なのに、どうしてそんなに不満そうなのー。油断していると、厳しいというよりは冷たい言葉が飛んでくるので、鑑賞している余裕もなく、かなり緊張して上手な運転を目一杯心がけると、最後の最後に「今の寄せは完璧でしたね」とおほめの言葉が。「まあ、滅多にほめない人からほめ言葉が」なんていう嫌味が、どうしてすっと出てくるかなあ、自分。ハンサムって苦手だ。逆恨みしがちだから。厳しい教官だと運転が(若干)上手になるのが、我ながらあさましい。

2限目は、ゴルゴ13の人、あるいは伊丹なんとかみたいな渋い先生。葉巻をくわえたら似合いそーだ。うまく行っている個所では、なーんにも言わない。あまりにも無言なのでなんか注意があるかなあ、と思って脇を見ると、超然と前を見ているのみでこちらを見ようともせず、「行って」としか言わない。その面倒そうな物言いが、非常に似合っているのであった。なぜかクランクができるようになる。こんなに広かったか、道路。多少タイミングを間違えても引っかかりようのない広さだとわかる。そのかわり、S字はまだだめ。頭の整理も体感も全然追いついていない。

3時間かけて喫茶店で学科の教本を一通り見た後、仮免前の効果測定。50点中39点しか取れず、「もっと勉強しないと受かんないよ」と答案をもらう。今日の教官は、どうしてみんな冷たいの?ところで携帯電話のドライブモードって何?

妙に人の少ない所内で帰りのバスを待っていたら、貸切の都営バスがやってきて、どやどや人が降りてくる。教官たちがいっせいにお出迎え。後で聞いたら、90日の免停をくらった人たちの教習だとか。私ができなかったS字を、こともなげにすいすい回っていく。「すいすい」を頭にインプットしておく。

家に帰る途中、あわや事故という場面を目撃。横断歩道の手前で信号が変わるのを待っていたら、向こう側の車線を走っていたワゴン車が急転回。普通、交通量も多いのに、こんなところでユーターンしないと思うんだけど。とにかく急に曲って、しかも大回りで、歩道のかなり近くまで寄ってきてしまったので、横に立っていたおばあさんが、恐怖のあまり後ずさりしてそのまま後ろ向きに転んでしまい、信号機の柱に後頭部をぶつけてしまった。旦那さんが車の運転手(女性)のところまで走り寄って抗議。女性は「歩道に乗り上げたわけじゃなし、こちらは悪くない」と言い返す。ああはなるまい。

久しぶりに図書館に寄って、本の返却&受け取り。なんだか少しブルー。