初めての一人ドライブとマンダリンオリエンタル

6時半に寝てうつらうつらした後、8時半に起床。「火曜日に朝から用事を入れるのは避けよう」と毎度思うのだが、今日はレンタカーデビューの日。

9時半に近くの日産レンタカーに車を借りに行く。うちから一番近いニッポンレンタカー2店では今日は軽自動車の予約が取れず、次に近い日産レンタカーに行くことにしたのだが、結果的にはこちらで正解だったかもしれない。というのは、ニッポンレンタカーでは、免許取得後1年未満の場合、免責額補償制度に加入できないのだ。レンタカーを借りると、基本的に一定額までの対人補償や対物補償がついてくるのだが、車両・対物事故が起こった場合、借り主が5万円までは負担しなければならない。免責額補償制度はその5万円を補償してくれる制度で、いきなり対人事故を起こすのは論外として、「ちょっとガードレールにぶつけちゃった」みたいな軽い事故が想定される初心者としては、この制度が使えるかどうかはかなり心理的な影響が大きいのである。

日産の店舗に到着して手続きが始まる。「一番安い車種」ということで今回借りるのは、「OTTI」という車種。一日4,725円。これに、今日は午前中同乗者がいるので、オプションでワイド補償420円+免責補償制度1,260円を追加して、6,405円を支払う。4分の1は保険・補償関係だな。

手続きが進む間、窓から通りを眺めていたら、珍しく恐怖の感情を覚える。この通りって、こんなに交通量多かったかしら。ほんとにこの道路に出て行けるのか。「あたし、免許取得後今日が初運転なんです」と言いたいのはやまやまだが、「え、じゃあ車貸しません」と言われたら困るので(そんなことはあり得ないけど)おとなしく車に乗り込んだものの、あら、ハンドブレーキが無い。あら、初心者マークを貼っつけるのを忘れた。ということで、初心者マークを貼ってもらって、一通り操作の説明を受ける。ハンドブレーキは足元にあり、シフトレバーはワイパーの側に取り付けられていた。はー、車種によって、こんなに違うんだ。

最初に出た通りでびびって右折できず、左折を繰り返して目指す通りへ。さすがに今日一日、一人で運転するのは怖いので、半日ナビを頼んだ大学の同期を迎えに、西葛西まで車を走らせる。目指す地点の手前で左折レーンに入ってしまい、彼女の立っている地点まで50メートルというところで、涙をのんで左折3回。10時に拾うはずが、到着は10時半であった。

同期の彼女と会うのは、今年の5月以来。「明日行くなら遺書を書いておけ」と言ったという旦那さんの心配も無理はない状況で、よくぞ来てくれました。「誰か同乗者を」と考えたとき、「あ、彼女なら大丈夫だ」とその存在を思い出して嬉しかったな。判断力があって、おしゃべりが楽しくて、率直で、意地悪ではない。とか言いながら、彼女の髪が長く伸びたことに、かなりの時間気づかなかった私。助手席の人の顔って、実はあまりちゃんと見ないのね。

まずは、駐車場に入れる練習ということで、葛西臨海公園に向かう。平日の午前中とあって駐車場はがら空き。発券機の側に車を寄せられず、同乗者に駐車券を取りに降りてもらう。うーむ。バックで白線の幅に車を押し込もうと努力するが、白線を踏まずに入れることができない。「周りの車がどうしてるか見てみようよ」と観察してみると、広大な駐車場でわざわざ難しい運転技術を披露する物好きは誰もおらず、白線の内側にたどり着くまでの運転は、みな大層アバウトであった。馬鹿らしくなって、外に出ることにする。駐車場代200円。

湾岸道路に沿って都心へ。確か、この道路を走っていれば、教習所での検定コースにたどり着くはず、と思うまもなく、なつかしいM通りへ。教習所の姿をちらっと眺めた後、練習で走った道を掠めて、目指すは銀座である。今日の予定は、当方の母が出品している絵画展を銀座で見た後、日本橋に移動してマンダリンオリエンタルでランチ、西葛西まで彼女を送っていって、その後自由練習、というコース。しかし、彼女が「銀座」には行きたがらない。「旦那が、最初は繁華街には行かない方がいいって」。いや、人も物も多いし、渋滞してるし、それは知ってるけど、徐行して走るのに別に危険ないじゃん。むしろ、トラックががんがん走っている湾岸道路とかの方が怖いといえば怖いよ。

と自分の利益を中心に考えれば、銀座を走るのになんの不都合もない。が、何回かクラクションを鳴らされて、なんとなく気づいたのだった。「あ、困るのは周りの車か。初心者が天下の銀座を走るなってこと?」と尋ねると「ピンポーン」と隣で正解のベルが鳴る。仕方ない。佃島大橋を越えて、進路は右。日本橋に向かう。「銀座も日本橋も一緒じゃん」という方、私が発見した「どの程度繁華街か」という基準は、駐車場料金に現れる。銀座の標準は30分300円、日本橋の標準は30分250円。50円分、日本橋の方が繁華街度が低い。

日銀の周りを例によってぐるぐるした後、日本橋三越の駐車場に入る。初心者なのに外車、みたいなおばさんもここには来るだろうから、いざとなったら係員に車を停めてもらおうという他力本願で。自走式駐車場に誘導されてぐるぐる回って5階までたどり着いた後、「すみません、駐車したことないんですけど」と訴えたところ係の男性はその言葉には全く反応せず、「はい、ハンドル全部右に切ってバック」「ちょっと前に出て」「ハンドル切ってバック」「オーライ、オーライ」と言っている間に車はぴたっと所定の位置に。やっぱプロだわ。これからは「初心者なので誘導お願いします」と言えばいいのね。

二人してへとへとに疲れて、しかし、せめてものイベントということで急遽予定に組み入れた、12月3日にオープンしたばかりの「マンダリンオリエンタル東京」へ。実は、新参東京東側住民としては、銀座や日本橋に「これ」というホテルが無いのがちょっと気になっていた。もちろん帝国ホテルやパレスホテルはあるのだが、あれは「自分より年上のおじさんやおばさん」のためのホテルである。コンラッドは期待はずれだったし、フォーシーズンズはビジネスユースな感じだし、丸の内ホテルはイメージは悪くないんだけど。

オープン前の外装から「これはいけそうだ」と期待していたマンダリンオリエンタル、いや、すばらしい。コンラッドなんか目じゃない。高層階が好きな当方の過大評価かもしれないが、私の好きな東京の東側を一望できるというだけで嬉しいし、ゴージャスだけれどけばけばしくない感じもいいし、スタッフも感じがいい。泊まれるのは何年先だか知らないが、ちょっと贅沢したくなったら、ここで食事かお茶だ(ただし高層階)。今日は残念ながら、予約が一杯でランチはできなかったので、次回に持ち越し。

同期の友人とはここで別れ、当方は電車で銀座に移動して絵画展。日本橋三越に取って返して、今日の夕方の「ボジョレー飲み会」のためにチーズとフルーツを購入した後、ぐるんぐるんと回って地上に降りて、地元に帰還。荷物を会場に降ろして、日産レンタカーの新富町営業所まで会員カードを作りに行く(最寄の店では会員カードが機能上作れなかったので)。初めての路上駐車。地元に戻って、初めてガソリンスタンドで燃料を入れ(410円)、無事車を返却。へとへと。

今後の注意点は、あまり早くから車線変更しないということ。右折、左折専用レーンに入り込んでしまうと、思った地点で曲がれなくなってしまう。車線は真ん中を選んで、直前で車線変更を。しかしそうすると、短い期間で車線変更が必要になってしまう。ただ、今日走っていて感じたのは、ウィンカーを出してちゃんと後方を確認すれば車線変更はそんなに怖くないし、後続も、そこそこ車間距離があれば、ちゃんとこちらを入れてくれるということ。しかし「これってどうすればいいの」という事態が発生すると、知らない間に速度を落としてしまっていて、これはかなり後ろを迷惑させてしまった。「後ろを止めない」ことが今後の一番の課題。

しかし、車線をはみ出さずに走るとか、ブレーキとアクセルを間違えないとか、バックでアクセルを踏まないとか、横断歩道でちゃんと歩行者を確認するとか、「駐車禁止」や「左折可」の標識が識別できるとか、基本的なところは一応できていて、「教習所ってのは、そういうことができるようになるために通ったんだな」ということがしみじみわかった。教習所では「今日はカーブをちゃんと曲がれた」みたいなことが大事件だったけれど、そのうち運転は「今日はレンタカーでどこどこに行った」の一行で済ませちゃうくらいの「当たり前のこと」になるんだろうな。

夕方から知り合いの事務所の会議室で、ピザとチーズとフルーツの「ボジョレヌーボー」宴会。「12月に入ってもこんなに美味しいなんて、今年のヌーボーはいい出来だなあ」と主催者が感心する中、「美味しいです〜」と稚拙な感想を述べつつ飲んで食べる。前回のこの集まりで「免許取りたい」と言ったことから、教習所を紹介してもらって、教習所通いが始まったのだった。ちょうど1ヶ月前。1ヶ月で、ちょっとかなり変化があったかも。帰宅してちょっとだけ仕事して、長い1日の終了。