静岡から糸魚川まで(二日目その3)

駐車場からもう一度奈良田の集落を上って、丸山林道に入る。先だっての梅ケ島林道が、舗装もきれいで、落石が散らばっていた以外はさほど走るのに困難をおぼえなかったのに対して、こちらの林道は、まだ奈良田を出発したばかりだというのに舗装はがっこり割れ、既に未舗装部分があったりして油断がならない。それでも、空は晴れてきて、緑の木立を抜けていくのは心が休まる。崖にさしかかると、一応は、山の姿が見える。立ち上る白い蒸気で、直近の山以外は無理だけど。



路面は、舗装がしてあったり切れたりの繰り返し。道幅は案外広く、すれ違うのが難しいとか、崖から落ちそうとか、そういう危険はあまりない感じ。土砂崩れにも遭遇しなかった。ただ、法面という法面は、コンクリートで覆われていたけれど。問題はやはり路面自体で、場所によっては、スピードを出していなくても車が揺れるほどの凹凸がある。路面の陥没、落石、水たまりの連続に、始終車は、がこん、かたん、からから、ぴしゃんと音が絶えない。それでも、危機感を覚えるほどのことはなく、櫛形山林道との分岐点に到着。ここまで来れば下界の気配も濃く、草生した神社を通り過ぎ、しばらくすると道の分岐がまた現れ、左手に氷川神社が見えた。丸山林道の終点である。

ここまではカーナビが全然機能していなかったので、カーナビで目的地を再設定する。時刻は15:30。だめもとでサントリーの白州蒸留所(http://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/index.html)を入れておく。見学は間に合わなくても、ショップだけでも見られないかしらと思って。

ところが、二つの林道を無事乗り切ったことで、実はかなり気が緩んでいたのだろう。結構ショックな出来事が待ち構えていた。曲がりなりにも市町村道に出たのだからとカーナビの言う通りに惰性で走っていたら、どうもなんだか様子がおかしい。気がつくと狭い急な坂を上っていて、しかも左手はガードレールも何もない崖である。ああ、またしてもやってしまったか。この先はきっと袋小路である。しかし、普通袋小路の最終地点には、方向転換のできる場所があるはず。

確かに、方向転換のできるスペースはあった。やれやれと思い、右折で敷地に入ろうとする。が入れない。右手の敷地は、進んできた道路からはかなり高くなっていて、車一台分の幅を除いては、段差でさえぎられている。右折しようにも、内輪差でひっかかってしまうのである。車に傷をつけない保証はない。仕方なく、道のつきあたりまで前進して、バックで入ることにする。

以下一段落、下書きモード。

かなりショックではあったが、こんなところで落ち込んでいる暇はない。妙に冷静になって車を出す。携帯が通じないので、連絡は後回しである。そろそろ今夜の宿の手配もしなくてはならない。これからどこまで走れるか。例によってカーナビが高速に入りたがるのを無視していたら、甲州街道からそれて清里ラインに入ってしまったので、若王子から日野春を通って甲州街道に戻る。途中で釜無川を見下ろす高台で小休憩。

後はひたすら走って白州、小淵沢、茅野を抜けたところで、いったん20号をそれる。諏訪大社の上社本宮に参るため。下社よりも上社が好きだ。境内への門は開いており、本殿では雅楽が奏されていた。そういえば、今回はご朱印帳を持ってこなかったことに気づく。地元の不動尊にも参らずに来たのだった。


夕暮れの諏訪湖を見て、心を落ち着かせる。

どこかのコンビニの駐車場に車を停めて、レンタカー会社に事故の報告。「とりあえず、明日車を確認してからになりますが、ちょっとしたかすり傷以上の傷がついた場合、傷の修理自体は免責補償があるのでお金はかかりません。ただし、修理に出す間の営業保証料をいただくことになります。1件あたり2万円です。これはどちらのレンタカー会社でも同じはずです」とのこと。そういう仕組みになっていたのか。やっぱり、ただというわけにはいかないのだ。

ついでに、ノートPCを開いて、今夜の宿にも予約を入れる。行程のなるべく先で取るべく、楽天トラベルであたってみたが、やはり、LANを使える宿という条件では、松本が北限のようだ。21時以降着限定で5200円という「ホテルニューステーション松本」(http://www.hotel-ns.co.jp)にネットで予約を入れる。駐車場代1000円。

塩尻を抜け、松本到着は21時をちょっと回ったあたり。今日も立体駐車場である。車を入れるのを見ていた気のいい管理人さんから「ほら、前に鏡がついてるでしょ。見ながら調整して」と言われるまで、鏡があることに気づきませんでした。今回は、まがりなりにも無事に駐車。車を降りても、まだ地面が揺れている。

チェックインしてアダプターを借り出す。全く予想しなかったことだが、このホテル、家具が素敵だ。ロビーから客室のデスク、ベッド、照明に至るまで多分特注品。決して華美ではなく、年月を経て傷もあるが、それが味になっている。得した気分だ。今日は街を見て回る気分ではなく、フロントで、1階の居酒屋の飲みもの券をもらったので、夕食はそこでとることに。「黒米焼きおにぎりのきのこあんかけ」というのがとても美味しくて、久しぶりにまともなものを食べた気になった。


部屋でネットにつないでいろいろ調べていたら、NHKで「怪奇大作戦 セカンドファイル」という番組をやっていて、つい西島秀俊目当てで見始めてしまう。マイクロウェーブって、どこかに愛好者がいるのでしょうか。なんとなくその後のドラマも続けて見てしまい(これが噂の「デスパレートな妻たち」でしたか)、気がつくとF1の予選が始まる時間である。結局最期まで見て、ウィルコム経由で日記をあげる。寝ていない割に、体調は良い。