金曜日のダブルブッキングが発覚し、下手すると1件明日に前倒しになり、今週は週4日間お出かけかと半ば覚悟を決めていたのだが、1件をキャンセルさせてもらったので、明日はお休みである。助かった。

仕事関係の予定は、ずらせばなんとかなる。しかし、ここのところ、どうにもプライベートの調整がうまくいかない。人と待ち合わせる用事なんて週に1度もないくらいなのに、そして、プライベートで人と飲み食いするなんて、月に2度がいいところなのに、その「週に1度」「月に2度」がなぜか重なる。

サブでマイルを積み立てているJALマイレージバンクから、今年の年末で5000マイルが失効する旨、先日お知らせが来ていた。現在の手持ちは15500マイル。JMBでは現在「国際線マイル2割引キャンペーン」を行っていて、例えば中国なら、通常2万マイル必要なところを、1万6千マイルでチケットと交換可能。あと500マイル程度なら、今月のマイル加算でなんとかなる。これは海外に出よう!と決めて、「どこに行こうかなあ」と考えていたところ、某レース関係者の方が「そりゃあマカオしかないでしょう」と一言。そうでした。言われてみれば、迷う必要なんか全然なかったのだった。11/15-11/18までマカオGP開催。琢磨、ハミルトン、クビサロズベルグ、古くはミハエルやセナもが競った、アジアの伝統の市街地レース(http://afw.fc2web.com/kaigai/f3makaogpchanp1.htm)。誰も知ってる選手が出なくても、一人寂しく観戦することになっても、これは見たい、見なくては。

と思って、昨日の夜、私は楽しくネットで情報を集め、飛行機の予約はちょっと遅れるけど、早々とホテルは予約を入れておいた。香港島に珠海に澳門。1泊2万出せば、今の段階でも澳門に3泊予約可能。でも、交通機関やら財布の問題やらで、2泊は澳門の外に泊まることに。後は、あと1週間、香港行きのチケットが売り切れないことを祈るのみ。

だったのに。

いつもタイミングの合わない方から、17日に句会のお誘い。屋形舟に乗って飲み食いしながらの遊句会だそうな。この方々とは、最初会ったときからタイミングが合わず(昼のコンサートに「〜の夕べ」とタイトルがついていたので、夕方と勘違いして間に合わなかった)、先日のF1の気象セミナーの日も前の日にお誘いがあり、当日は手土産だけお渡ししてすぐに失礼させていただいた。

もちろん、お断りするのは可能である。でも、2度連続でお断りするってのもなあ。それができるほど親しい人たちではないのである。そもそも、世代が全然上だしね。困ったことに、お会いして話していると楽しいしね。

本当に自分の好きにやりたいなら、人付き合いは断固!絶つべしだよなあ、とため息をつきつつ、そのうち自分のわがままが勝ることは分かっていつつも、やっぱり、自分から距離を置くのは独善家らしく苦手なのだった。

四つの雨 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 21-1)』『現代語訳 樋口一葉「十三夜 他」 (現代語訳樋口一葉)』読了。『四つの雨』は、起点と終点だけ見ればオーソドックス。でも、そこに至るまでのスライトなズレの連鎖、10ページ先にあるはずの展開が、ページをめくった途端にもう起こってしまう、しかも予測を微妙に裏切る形で、という連続に、つい読み進んでしまう。『十三夜 他』。一葉は、絶対にハッピーエンドにならないところがもはや快感。藤沢周訳の「やみ夜」。『四つの雨』の主人公と境遇が似る。

出てきた都は人鬼はいなくとも、どこでも用いられるのは才子で、たとえ軽薄に思われようが口先が巧みな小器用な者が重宝がられる。

籬にからむ朝顔の花は一朝の栄えに一期の本懐を尽くす。我が身に定められた分際を知っていれば、思いに任せぬ世に迷うことなく、甲斐なき煩悶に怒り狂うこともない。

ぐっと来るのは、しかし、「女というもの」を書いたこの部分。

私のことを心から愛しいと思うなら、その命を今、この場でくださることはできませんか。
...
彼の命を断たずにおくものかという執念、これをも恋というのでしょうか。
...
恐ろしきは涙の後の女心である。

藤沢周の解説より。

この作家は自分の作品を愛していない。...クールでソリッドで孤独な女。
いつまで経っても、小説からナレーションの声が消えない。

女であることの拒否と、女であることの執着の振幅を苛烈に生きた女は、絶対にヒロインには同化しない。
一葉にとってはおそらく文学は女の手遊びだっただろう。だからこそ、怖いのだ。

「わかれ道」の現代語訳は阿部和重。ドライブ感がある。やっぱりこの人の文体が好きだと思う。まだ幼いといえるくらい若いのに、「そんなものさ」と生きて別れていく少年と少女。激情などなく、諦念というほどの悟りもない。それでも一瞬、

「お京さん、お願いだ、どうかこの手を放してください」

くらくらしちゃうわね。ついでに、年若い男が年上の女に言う「あなた」は、効くなあ。