ライコネンの優勝に心底満足しつつ、幸福な眠りに就いたにも関わらず、昼過ぎに起きてみたらこのニュースに迎えられる。

勘弁してくれよ、と一気に目の前が暗くなる。ウィリアムズとBMWが違反していたということになれば、ポイント剥奪、ハミルトンの順位が繰り上がり、年間チャンピオンはハミルトンということになってしまう。

と、ほどなく次のニュースが。

やれやれ、と胸をなでおろす。しかし、本当に違反があったとするとそれは、キミの優勝に微かなシミを残すな、と嫌な感じ。かといって、昨日の素晴らしい走りでもぎとった優勝を剥奪されるというのは、全く納得がいかない。天秤の両側の重さが違いすぎる。グレーゾーンのちょっとした違反は、許されているとまではいえないかもしれないが、規定の網の目をくぐり抜ける試みは、どのチームもやってるんじゃないか、という私の認識が間違っているのか。

と、またしても次のニュースが入る。

結構、怒り心頭。「ステップニー・ゲート」で、「確かにフェラーリの技術資料をうちのスタッフが入手していたのは事実だ。しかし、そこに書いてあった内容なんか知らないし、マクラーレンの車に技術は転用されていない」なんていう苦しい言い逃れを聞かされたのも不愉快だったが、もしかしたらドライバーズ・ポイントを剥奪されるはずだったところを免れたのは、すばらしい走りを続けるアロンソとハミルトンに対する敬意があったからだ(私見だけど)ということを、完全に忘れている。相手の違反を言い立てるのはどのチームもやる常套手段だとしても、昨日のレースを見た後に、そんなことを言い立てるのは、醜い。ハミルトンが昨日勝てなかったのは、ギアボックスのトラブルのせいだ。それは、マクラーレン自身が招いた問題だ。信頼性の欠如で2005年のライコネンを勝たせることができず、同じ問題でハミルトンを勝たせられなかったマクラーレンが、何を言うか。

ハミルトンやアロンソのドライバーズ・ポイントを、フェラーリの首脳陣以外誰も「剥奪しろ」と言わなかったように、今回もマクラーレンの二人は、非常にまっとうなコメントを出している。

インタビューにある通り、「Raikkonen is the deserved champion」であり、何より「Kimi has won six races and Hamilton, like me, has won four」という事実より重いものなんてあり得ない。

と書いていたら、マクラーレンがいくら控訴しようとも、チャンピオン交代なんてあり得ない気がしてきた。ファンやドライバーの感情的な意見がいつも正しいとは限らない。しかし、誰よりも速く公明正大に走り、誰よりも多く勝ったドライバーがチャンピオンを取れないとしたら、そのスポーツはおかしい。ロン・デニス、出直してくれ。未練たらしい恋人のような真似をして、キミを苦しめるな。