香港・マカオ旅行三日目 通算成績-50HK$。

frenchballoon2007-12-02


起床。部屋に時計がないので、時間がわからない。枕元にアラーム・クロックを置いていないホテルも珍しい。少しでもパブリックな要素がある場所なら大体時計が置いてある日本に比べて、香港でもマカオでも、時計を置いている場所はきわめて少ない。例外は交通施設か時計屋さんのみ。とりあえずテレビを付けて時間を確認。9時。もう少し寝ていよう、と中国語のニュースを付けっぱなしでベッドでうたた寝していたら、中国語ででっちあげた夢を見た。

結局11時前に起きて11時半にチェックアウト。せっかく名所旧跡の一つであるギア灯台のふもとにいるのだから、ということで、荷物をホテルに預けてお散歩に出る。ホテルから5分ほど坂を上ったところで海のほうへ向かう分岐が現れたので、そちらのほうへ進んでみる。と、次から次にやってくる、スポーツウェアの老若男女。どうやら、このギアの丘は、運動公園として整備されているらしい。「中国といえば太極拳」のイメージが覆される、このジョギングに勤しむ人々の姿。中腹をぐるりと廻る道がそのままジョギングコースになっているらしく、順路と反対に歩いている私は、数多のランナーと顔を合わせることに。緑と木漏れ日。ホテル街、海とフェリー・ターミナル、タイパへ渡る橋が、そう遠くなく見晴るかせる。朝起きたらジョギングしたい向きには、おすすめ「ギアホテル(東望洋酒店)」。半周した反対側には、簡単な体力増進遊具が道なりに設置されていて、子供も大人も、思い思いに体を動かしていた。安上がりで結構効果的な施設だと思うんだけど、日本ではあまり見たことがない。ロープウェイの駅があって、ひっきりなしに麓からの客を運んでいた。車道に駐車している車も多い。市民の憩いの場なのだ。コースを一周し、なにかの施設跡にもぐりこんでみたりしたが、間抜けなことに、白亜の灯台の姿はおがめなかった。うーむ。こういうこともある。

ホテルに引き上げ、フェリー・ターミナルまでの無料シャトルバスを手配してもらう。もう少し時間があれば、地元の家族連れらしき人たちでいつもにぎわっていたホテル内のレストランで食事を摂ってもよかったのだが。ホテル自体はとっても健全な雰囲気なのに、地下の「Playmate's Club」はちょっと怪しかった。まあ、足を踏み入れる機会はないでしょう。

13時ちょうどの発車を待つ間、フロントのお嬢さん方とおしゃべり。3人とも、英語は問題なくしゃべれ、日本語は意思の疎通がまあまあできる。日本語は学校で習ったとか。マカオの出身ではないと言っていたから、本土から来ているのかも。みんな人懐こくてかわいい。頑張る中国の若者たち。この「未来は明るい」と純粋に信じている感じ、日本では金を出しても買えないよなあ。

英語がわからない運転手さんに送ってもらうフェリー・ターミナルまでの道筋は、まさにマカオ・グランプリの市街地コース。昨日、フェリー・ターミナルからホテルまで辿った道と合わせて、まるまる1周走破したことに。テレビ放映は見たことないけれど、このコースは、目をも楽しませるに違いない。また来れるといいなあ。

まずは、荷物置き場に荷物を預け(2個で30ドルだったか)、16:00の香港島行きチケットを購入。日曜だから、先に買っとかないと、夕方以降は混むかなあ、と思って。昨夜見つけられなかった「Venetian」とか「Crown」は、実はタイパ島にあることがわかって、どうしても一目見たくなったので、3時間しかないけど、行ってみることにしたのだ。あの、蜃気楼みたいな長いタイパ側への橋(3本もある!)を渡れると思うだけでわくわくする。主だったホテルへは、ターミナルから無料シャトルバスが出ているので、どちらか行きのバスを探してみたところ、先に見つかったのは「Crown」の方。例によって、参考にした地図には「Crown」の位置が明示されていなかったので、まあ「Venetian」も近くにあるんだろう、くらいのつもりで乗ったのだった。

バスは、マカオタワーの脇を抜けて、昨夜見るだけで我慢した西湾湖景大馬路を走り、西湾大橋をタイパ側へと渡る。海を渡る橋って、一番美しい土木建築物だよね。この絶景をなんと表現しよう。詳しくは写真で、と言いたいところだが、残念ながら、タイパ往復の写真は今回残せなかった。デジカメのバッテリーが切れて、さっきホテルの近所のセブンイレブンで単四電池を入手したまではよかったが(香港よりかなり安い値段だった)、電池を入れても電源が入らないのだ。なんせ、まだ使い始めたばかりだし、マニュアルも持ってこなかった。「もう写真はいいか」と一度はあきらめたけれど、実際この風景を眺めると、やっぱり撮りたい。橋を渡ったとたん「Crown」に到着し、「え、もしかしてVenetianのある場所とは全然違うのかな」と思いつつ、電池のことで頭はいっぱい。カジノの入り口で無意識にショルダーバッグを外そうとすると、門番の人が「そのまま行っていいよ」と言う。

とりあえず入った「Crown」のカジノの第一印象は「こじんまり」。フロアが狭い。2階まで上がってみて、ニュートラルかつ品のよい印象は悪くないなあ、と思ったものの、「わざわざここまで来る必要あるかなあ」っていう感じ。ワンフロアが狭いということは階がたくさんあるということに思い至らず、そのまま下りてしまった。

外に出て、またしても電器屋を探す。決して華やかな通りではないけれど、バス通りになっている「Dr. Sun Yat Sen」通りには、安くて入りやすそうな食べ物屋さんがぽつぽつ並んでいる。ランチセット30ドルくらい。香港よりマカオは食べ物が安く、さらに、マカオ島よりもタイパ島は安い様子だ。電器屋は見つからなかったけれど、HTCとウィルコムを扱っている携帯電話屋さんがあったので、カメラを持ち込んで聞いてみる(全然畑違い)。親切なお兄さんが「単四使えるはずですよ。電池は世界共通。そこのコンビニに売ってるから」というので、コンビニに行って単四を買って入れてみるものの(さっき使えなかった電池はフェリー・ターミナルの荷物の中)、やっぱりダメ。ここでもう一度、あのメカ好き伝道師風お兄さんのところに戻ればよかったのだが、気力がつきてしまった。

中華定食にも惹かれたものの、美味しそうなパン屋があって、つい抗しきれずパンを買っちゃったところ、おつりで10ドルのマカオ紙幣が来てしまった。タクシーを飛ばして一目「Venetian」をと思っていたのが、なんだかいろいろ面倒になってしまったので、「Crown」に戻ることにする。30分くらいで、マカオ貨幣を使い切っちゃうつもり。もう一度「Crown」のゲートをくぐり、昨夜試したのと同じ種類のスロットを探して回る。マカオ紙幣を入れてゲーム開始、のつもりが早速ジャムる。係のお兄さんが言うには「使えるのは香港ドルだけですよー」。仕方なく、香港ドル100ドル紙幣を投入。昼間の空いたカジノで、回転椅子くるくる、足はぶらぶらさせながら、もう時間もないので、今日はとっととすってしまおうと、高額消費ボタンを連打。と、なんだか当たりがたくさん出る。点数は低くなっては盛り返し、で、なかなかゲームが終わらない。「こんな時間のない時に限って!」である。15:15にはターミナル行きシャトルバスに乗らなきゃいけないのに、もう15:00はとうに過ぎているはず。「赤か黒か」タイムで、自棄になって適当にボタンを押しているだけなのに、また勝っちゃったよ。でもでも、本当にもう時間ない。切り上げなきゃ!ってことで泣く泣く返金ボタンを押す。と、現金がその場で戻ってくるのではなく、するすると金額を印字されたスリップが出てきた。その額206.**ドル。106ドルの勝ちである。キャッシャーの場所を尋ね、おそるおそる換金してもらう。いやそりゃ、こんな額なんで恥ずかしいんですけど、嬉しいんですよ、と、無表情な係のおばさんにちょっと言い訳。

シャトルバスを待つ間も、なんだかじんわりと嬉しい。だって、公式に賭け事で勝ったの、初めてなんだもん。1500円も稼いだんだよ! 何事も「初めての喜び」というのはあるのだ。「次は、高額ボタンを押し続けても一気に点数が減らない種類のスロットを探して、高額ボタンを中心にゲームを組み立て、300ドルくらいを1000ドルに増やし、おもむろにバカラ」という妄想を抱いて、帰国後知り合いにその話をしたところ「みんなそう考えて大負けするんだよ。馬鹿だなー」と思いっきり腐された。独創性のない考えらしい。しかし「勝つのは難しい」と言う割に、「1500円勝った」と言うと「たったそれしき」と言われるのは不満である。

ちなみに、昨夜150ドル負けているので、通算は50ドル(750円くらい)の負けである。昨夜の負けだけであれば少し寂しいカジノ初体験になっただろうが、日を変えてささやかでも勝って帰るのは、体験型エンタテインメントとしては大満足である。次はイーブンに戻すぞ!(額は小さくても)。もしかすると、負けっぱなしで終わったほうが、その後の私の人生にはよかったのかもしれない、という気もちらっとしつつ、今度は友誼大橋を渡って10分でフェリー・ターミナルに到着。

お土産でマカオ硬貨を消費し、フェリーへ。今度は窓側を振ってもらえたので、名残を惜しみながらマカオの風景を眺めた。オープン間近の「MGM GRAND」は、海側から見ると、建物が4層に色分けされていて(光沢のある、それでいてけばけばしくない色彩)目を惹く。そういえば、来るときも海から見えていた「Sands」は、巨大で品のない看板。後で知ったところによると、ここの中国人ディーラーは当初、中国人に対しても英語しかしゃべらないように教育を受けていたそうな。地元に敬意を払わない開発は嫌いだ(とか言っても偽善でしょうが)。「Venetian」も同じオーナーなのか。まあ、ヴィーナス・フォートみたいな内装だしなあ。開発のせいでインフレ進行中というマカオ。「今まさに過渡期」というのを聞いたからこそ、今を見ておきたかった。カジノでも遊べる、でも、食べ物も安くて美味しいマカオであってほしいなあ。次に来たときも。

16:00発17:00過ぎ香港到着という船便は、考えてみたらちょっと中途半端だった。ちょこっと九龍側に渡る予定は、入国審査を受け、電器店に寄ったり、JALに電話していたりする間にすっかり時間がなくなってしまい、おしゃかに。IFCの電器店でカメラについて尋ねてみると、電池を互い違いに入れることで、あっさり電源が入る。いったいどんな間抜けだ、電池すらまともに入れられんのか、と思われるでしょうが、まず、表示で「+」のマークの方ははっきりわかるのだが、「−」のマークは、スペースの関係上、マークに見えない。もう一つ、電池を入れるスペースの底についているバネが二つとも同じだったので、二つとも同じ向きに入れるとしか思えなかったのだ。同じミスをしたおっちょこちょいは、全世界に私だけではないと思う(希望的観測)。明日、急な仕事が入ることを懸念して朝の便を予約しているのを、夕方の便に切り替えようとJALに電話をしてみたところ、数分違いで受付終了。これは明日の朝になる。

すっかり慣れたエスカレーターを上って、再びビショップ・レイにチェックイン。今度は最上階から一つ下の階である。海側なら高くなるほど眺めはよくなるでしょうが、山側だし、関係ないや、と思ったら、通りをはさんで目の前の高級マンションは、上の階になるほど家賃が高いのか、高級インテリア(に見えた)をゆったり配置した部屋が多くて驚いた。

街に下りて果物を買い込み、「mix」でドライカレー入りなんとかを、スーパー「wellcome」でビールを買って、部屋に戻る。おそるおそるPCを電源に繋いでネットをチェックし(安藤美姫ちゃん負けちゃったのか)、ついでにiPodを充電し、デジカメを使っていたら「電池を換えてください!」の表示が出たので「変な電池の入れ方をしたせいで本体が壊れちゃってたらどうしよう」と心配しつつバッテリーを充電し、帰国に備えてwillcomの端末を充電し、深く考えずにdocomoの端末を充電しようとしたら、壊れた。あわてて表示を確かめると「国内充電専用」の文字。docomoの「独占、囲い込み、閉鎖的」なイメージが、またしても強化される。

明日予約の変更ができなければ、朝は早く出なくちゃいけない。日本で目覚ましに使っているdocomoの端末の強力呼び出し音なしに起きられるかなあ。いろいろ心配しつつ、寝る。(12/15更新)