おうちにこもって仕事。「ちりとてちん」でちょっと好感度の上がった渡瀬恒彦が出ていたので、西村京太郎サスペンスを流す。ご当地ミステリは原作は絶対読まない(『刀語』みたいな例外もある)が、単発の2時間ドラマとしては割と好き。しかしなあ、舞台が海外になると、とたんに陳腐さが際立つ。外国語がからむ台詞は、日本人も外人も、みーんな棒読み。画像は見ずに声だけ聞いているのでなおさら。渡瀬さんは、やっぱり関西の街角に立たせてみたいのだった。

夜はグランプリファイナル男女シングルフリー。高橋大輔、堂々たる滑り。この1年くらい、彼の崩れる姿を見ていないような気がする。逆に、ジャンプをまともに飛ぶライザチェックを初めて見た。久しぶりにランビエールを見る。黄色い声がひっきりなしに飛び交って、会場はやかましい。演技が終わるとなぜか万雷の拍手。ジャンプに切れがないわ、転ぶわで、「こんなものか」と思っていたら、なんと高橋を抜いて1位。そんなに良かったかなあ。去年に続いて「心ここにあらず」に見えたけど? 本腰を入れなくても評価を受けるほどの滑りができるとは、それはそれで素晴らしい。去年の世界選手権は確かに、「ジャンプなんかどうでもいい」と思えるほどの演技だった。だけどね...。今年は「ジャンプを多少ミスっても、自分の滑りは素晴らしいんだ」っていう慢心が見えたよ。結構な色気も、伊藤英明化してるような。昔の「スケートに誠実な」ランビエールが懐かしいよう。来季もこんなだったら見放すよ。あれっ、ジョニー・ウィアーって、フリー流れたっけ?

浅田真央、自分との戦いを制す。フリーでの順位は僅差で1位を獲得、キム・ヨナに一矢を報いる。が、これが精一杯。今年のキム・ヨナは強かったなあ。真央ちゃんも、本調子ではないとはいえ、そのキム・ヨナに並ぶほどの点数を取れるということは、多分、潜在力だけでなく、実際の実力も劣ってはいないんだろう。だけど、フィギュアは、身体的な能力を発揮して終わり、ではないところが、魅力であり、難しいところであり。今年の二人のプログラムは、キム・ヨナの「ミス・サイゴン」の方が、わかりやすくアピールした。おまけに、演技中のキム・ヨナの色気は半端じゃないし。このところ、二人の演技を見るたびに、浅田真央の本質を歪めずにキム・ヨナを上回るには、どういうプログラムにすればいいのかということを考えずにいられない。普通、女の人は、少女のまま進化を続けるということはなくて、どこかで「女の人」のほうに枝分かれしていく。だけど、真央ちゃんを見ていると、この子は大人になることはあっても、生臭い「女の人」にはならないのではないか、と思わせるところがある(流し目をする浅田真央を想像できるか?)。

「血と汗と涙」とか「人生経験」とか、そんな概念を寄せ付けない美しさがあってもいいはずだ。自分の好みから言えば、「女性らしい美しさ」とは無縁の美しさがあってもいいはずだ(笑)。「才能に恵まれてなんの苦労もせずに育った」現在の日本のお金持ちならではの滑りがあるはずなのだ。この上なく淡白で優雅な滑りというものがあるのなら、いつか見てみたい。

現在のキム・ヨナのコーチは、ブライアン・オーサーなのだとか。私がフィギュア・スケーターとして一番最初に好きになった選手だ。現在の写真を確認してちょっとがっくりきたが(キム・ヨナの隣にいたときはもっとハンサムに見えたのに)、懐かしいには懐かしい。対する真央ちゃんのコーチ(ちょっとひんやりした感じ)のアルトゥニアンは、ミシェル・クワンのコーチだったとか。アルメニア人てのが珍しい。ついでに、ランビエールのお母さんはポルトガル移民とのこと。ウィキペディアって、いろんなことが書いてあるのね。しかし、現在のランビエールの彼女が誰なのかという記事は、まだ見たことがない。

フィギュアスケートの後は、なんとなくそのままテレ朝で「敵は本能寺にあり信長の棺完結編〜」。無意味に出演者が豪華な、なんちゃって時代劇。それより、織田信成君、早く帰ってきて。(2008/01/03更新)