久しぶりのお休み。8時に起きたものの頭がすっきりせず(軽く二日酔い)、システィナCを補給して結局ベッドに逆戻り。『新世界より (上)』をむさぼり読む。何が始まるのか最初はさっぱりわからなかったが、SFと伝奇とファンタジーと冒険小説が一緒になっているような感じですこぶる読みやすい。真言とか凡字とか鬼とか、日本ぽい細部が雰囲気を盛り上げる。恩田陸で鳥居の出てくる西洋が舞台の小説あったな。テイストは違うが、サイキック小説という意味では『光の帝国』とも共通。人間の暴力性について。動植物の異常進化の形態が細々描かれるところは、さすがに男性だな、と思いつつ読み飛ばす。しかし、ファンタジーの中の愛らしいネズミ像はぶち壊し。『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫044)』で育ったのにさ。舞台となる遠い未来の茨城には、荒涼とした平野を利根川がゆったりと流れている。そう、東京が滅びた後も、利根川は残るかも。

夕方、クリーニング屋さんから戻ってマンションの共用スペースに立ち寄ったところ、共用のゴミ箱の脇に、私のストールが丸めて置いてあって驚愕する。昨夜ワインの会から帰ってきたときに落っことしたらしい。落としたことすら気づいてなかった。しかしまあ、よく無事で。多分同じ場所で落とした後、マンションの住人の善意が勝ったか、関心がなかったかして、ほぼ1日無傷で残されたものと見える。アッシュ・ぺー・フランスの、インド綿のくせに2万5千もしたやつだ。すてきなドレスを買う余裕がないここ数年、どれだけ私を助けてくれたことか。

しかし、忘れ物は先週の傘に続いて2度目。忘れ物はどんどん増えるが、不動尊への賽銭を欠かさないおかげか、ほぼ例外なく手元に戻る。明日もお参りに行こう。それから、やっぱりワインは効く。

ステート・オブ・プレイ」最終回。私の好きな政治陰謀物だが、ストーリーはいまいちぴんと来なかった。むしろ、登場人物のファッション・チェックをしてました。マスコミ関係者のスーツ、ラフなジャケットとインナーの組み合わせ。さすがBBC。「相棒」も久しぶりに。市井の殺人事件に戻っている。「相棒」は、社会問題や政治問題とからめた事件を描くのが好きだと気づいたのはいつ頃だったか。まっとうなニュースやドキュメンタリーでは取り上げることのできない/取り上げようのない問題を、若干興味本位の味付けをまじえて描く。こうなったら、M資金とか政商とかフリーメーソンがどうしたとか、話を広げてくれると楽しい。

関係ないが、奥泉光は、山形の三川町の出身と知る。鶴岡と酒田の間、夏に通ったところだ。ちょっと親近感が増した。