「トライアングル」、見てよかった。ミステリ的に期待しすぎると、結局のところ外しちゃうかもしれないけれど。原作の新津きよみは未読。アンソロジーのタイトルには覚えがあるから、短編なら1、2作読んでるかも。しかし、去年の9月発売で今年ドラマ化は早いね。ドラマのために書き下ろした?

20数年前?の女児殺害事件。繰り返し映し出される「殺された少女」は、スキャンダラスではなく、不吉で、それでいてノスタルジックな、少し哀しい夢のように描かれている。その陰鬱なトーンは、番組を通してずっと消えない。陽は射しているのに、たえず雲でさえぎられているような光度だ。音楽もよく合ってる(澤野弘之林ゆうき:どちらも1980年生まれ)。水橋文美江の脚本も、淡々と流れてスムーズ。

「誰が彼女を殺したのか」。敏腕刑事が唯一解決できなかった、というよりは、お蔵入りにしてしまったフシもある。大人になってからも、事件の影をそれぞれに引きずって見える当時の同級生たち。誰が何を知っているのか。事件の解決と引き換えに失われるのは、きっと友情だ。

主役が大人世代なのが嬉しい。江口洋介(1967)、堺雅人(1973)、谷原章介(1972)、佐々木蔵之介(1968)と同世代(よりちょっと下)のハンサムが揃っていることもだけれど、なんかこのところ自分でも、昔のことをつい回想してしまったりすることがあって、このドラマは、そういう「40前後から始まる懐古の情」を、うまくすくい取っているような感もある。あくまでも個人的にだけれど。ロバート・ゴダードピーター・ラヴゼイのような? 殺人の話ではあるが、主役は過去と、過去を振り返り、もつれた糸をほどいて、もう一度封印し直す中年の男たちだ(広末涼子は「ヒロイン」に過ぎない)。

と適当に書いてはみたものの、全然違う話ということもあり得る。懐古趣味は単に演出の問題に過ぎないのかも。にしては、エンディングの小田和正「さよならは 言わない」が決まりすぎ。やっぱり、美少女を軸にして、過去に落とし前をつける男たちの話ということに決定。そういえば、大杉漣が今日はまだいなかったな。あれっ。稲垣吾郎って1973年生まれなんだ。なぜか彼だけ、妙に幼いなあ。