AIGオープン2008〜エア・ケイを見に有明コロシアムへ〜

frenchballoon2008-10-02


AIGオープンの男子1回戦で錦織圭が勝ったのを、たまたまテレビで目にしたのが一昨日のこと。「おお、すげー」と本気で思ったけど、まあ、2回戦では負けるだろうな、と予想してました。それが、昨日の2回戦をまた見ていて、第1セット第1ゲームの14回のジュースを戦った挙句のブレイクにノックアウト。1時間見てたまらず結果を先に確認し、AIGオープンのサイトでチケットの残券状況を確認し、イープラスに登録して今日の自由席のチケットを購入するまでは一瀉千里。おかげで、肝心のゲームの後半はあまりちゃんと見なかった。ついでに、その後やってたチョウ・ユンファまで見逃してしまった。

いや、いろいろ考えると、木曜つまり今日しかなかったので。金曜日は予定があるし、金曜から全席指定になってチケット料金も上がるし、何より、錦織がいくら急成長中とはいえ、世界ランキング13位に勝つのは難しいだろう、つまり、錦織の試合を見られるのは今日が最後になる可能性が高いと思ったから。

で、準備として、セブンイレブンでチケットを発券がてら、スーパーに果物を買いに行った。私はアウトドアでは果物が食べたくなり、食べ物はどこででも手に入るが、スポーツ観戦先で果物は売っていないので。で、りんごとみかんを買って不動尊にお参りして帰ってきた。

購入したチケットは、2階・3階共通の自由席券で価格は3000円。金曜日は7千円になる1階指定席4500円にも惹かれたが、気まぐれのテニス観戦に費やすにはちょっと抵抗がある。それに、2階席の値段だって、金曜日は5000円に跳ね上がるのだ。捨てたものではない。しかし、テニス観戦は初めてなので、わからないことが多い。第3試合、午後からの錦織君の試合をちゃんと席を確保して見るためには、何時に到着していれば良いのか。1人なので、席を立つときの席取りのルールも知りたい(モータースポーツと同じでよいのか)。そして、自由席のどこで見るのがベストなのか。

AIGオープンは、2006年にフェデラーが来日していて(そういえばニュースで見た記憶が)、決勝の当日券を求めて、4時から人が並んでいたとの記事を読む。フェデラーと錦織、どっちがどうなんだろう。ミハエルと佐藤琢磨みたいなもの? 琢磨よりは断然高そうな錦織人気(まず観戦人口差が)。でもまだ3回戦だし、何より今日は平日だし、ってことで、8時最寄駅を出発を目標にする。ちなみに、最寄駅から有明までバスが出ていて、所要時間は30分。片道200円というのもナイスな点。席取り用に、一応小さなナイロンバッグも用意。どこで見るかについては、サイドラインではなくエンドラインの側が良く(そういえば、テレビの中継カメラもその目線だな)、有明で言えば、北側のエンドラインに陣取ると日焼けが厳しいとのことだったので、南側のエンドライン、ロイヤルボックスの後方を第一候補にする。

8時出発予定が、結局9時にずれ込み、有明コロシアム到着は9時40分。恐れていた行列もなく、2階の自由席は、全体で見ればまだまだ全然余裕である。しかし敵もさるもの、目当てのロイヤルボックス後方だけは、2階席部分は既に最後列の1席を残して埋まっている。少し斜めになった、左隣の列に、残り2席。そちらは、前から4列目に空きがあったので、割り込ませてもらった。荷物を置いて、席だけ確保している人多数。それでOKということらしい。

開閉式のルーフの陰になっていて、日焼けの心配はないけれども、思ったより肌寒い。10時にまず、女子2回戦森田あゆみキャロライン・ウォズニアッキ戦。まず森田が第1ゲームをブレイクしたので、これはいけるか、と期待したが、どんどん崩れてしまって結局6-2、6-1で完敗。テニスって、モータースポーツに比べると、初心者でも同調しやすいスポーツだな、とわかる。声が出るところ、拍手をするところ、特に周囲に合わせているわけじゃないのに、お揃いになる。これがモータースポーツだと、初観戦の初心者は、なんだかさっぱりわけがわからないうちに終わる。女子は、思ったより球が遅い。体の動きがもどかしい。変な感想だけど、ウォズニアッキのお尻のラインがかっこよかった。森田嬢、技術的に歯が立たないってほどでもなさそうなのにどんどん置いていかれるのは、「良いプレイ」を持続できないから。勝負を分けるのは、「技術力」そのものより「持続力」なのだろうかと思ったり。まあ相手の「技術力」で「持続力」を破壊されているのかもしれませんが。

第2試合は、男子3回戦で鈴木貴男ダビド・フェレール。どちらも知らない人だが、フェレールは男子の第1シード選手。一方的な展開を予想していたらどっこい、32歳鈴木貴男さん、粘る。「おお、世界5位から1ゲーム取ったよ、やるなあ」などと思いつつ、お昼を買いに出かけて戻ってきたら、1セット取っていた。沸く場内。800円で買ったドライカレーを美味しくいただきながら、楽しく観戦。この鈴木さん、ランキング593位だというのだけれど、2006年には、フェデラー相手に熱戦を繰り広げた、とオーダー表(200円)に書いてある。その試合もこんなだったんだろうな、と思わせる戦いぶり。なんというか、面白い闘志のある人。勝ちを狙っているというよりは、上位をかき回して客を楽しませ、自分も楽しむために試合をしているような。派手ではないけれど、観客の感情を引き出すようなしぐさを、合間合間に見せる。「もう一本!」「まだ行けるぞ!」と、男気のある応援が飛び交い始め、ついでに手拍子も。徐々に力尽きましたが、楽しい試合でした。試合後の松岡修造のインタビューでは「このところ新しい選手が出てきて(場内笑)...でも、テニスは一人の力でやるものではありません。まだ32歳。これからも頑張ります。応援よろしく」(というようなニュアンスでした)。

次が待ってました錦織圭対リシャール・ガスケ。第2試合の途中から続々と人が入り始め、それまで空いていた3階席や記者席にも流入が続く。マイクを握った松岡修造から、今日は自由席券の販売中止&200人が入場制限で待機中、前代未聞の事態とアナウンスが入る。席が日向の中に入ったため、体感温度は急上昇。しかし、風は冷たくて気持ちがいい。

昨日の第1ゲームがあんなだったので、漠然とストロークの応酬を期待していたのだけれど...。試合開始の余韻に浸る間もなく1ゲームを難なくキープされ、2ゲーム目を落とし、「調子悪いのかな」「いやまだ始まったばかりだし」「調子悪そうだ」「切れがない」「元気がない」「どうしたんだ」と戸惑いは深まるばかり。それは会場全体もそんな感じなのだが、明らかな劣勢を応援で吹き飛ばそうと、あちこちから声が上がる。でも、前試合の鈴木さんとは違って、その応援の声すら消化しきれない感じの錦織君。1セットを失うまでの時間がなんと短かったことか。2セット目は取り返してほしい、という願いも叶いそうにないとわかり、それならばせめて1時間は持ってくれ、と念じながら、改めて錦織圭という選手の魅力に揺さぶられる。フェデラーは数年前からのお気に入りで、フィギュアスケートも結構好きで、それでも、私をスタジアムに連れ出すことはできなかったのに、たかだか2回の試合の映像で、この子は私に金を支払わせ(早起きをさせて)ここまで連れてきたのだ。「もっと見たい」と思わせること。それが全て。試合時間55分。「来年は優勝目指して頑張ります」。育ってほしいものだ。

ざざざ、と人がいなくなり、第4試合でゴンザレスとデリックはくるくる回ったり、天高くボールを投げ上げたりしながらなんだか陽気に戦っていたようだけど、「これはゴンザレスの勝ちね」と勝手に決めて、EeePCでメールチェックしながら、次の試合待ち。第5試合のロディック対メルツァー戦、ロディックの200キロ超サーブの破壊力と、サーブ以外がちょっと見劣りすることなんかを確認して、5時に席を立つ。初めてのテニス観戦終了。7時からBSでおさらいするために、急いで帰宅する。

「今日はエア・ケイ見られなかったな、残念」と思ってたけど、観客が沸いたあのシーンで、実は打ってたんですね。でも、その後のインタビュー等で、エア・ケイで「わざわざジャンプする技術的必要性はない」と知ってびっくり。バレーのジャンピング・サーブとは違うのね。錦織君曰く、ジャンプするのは「観客を魅せる」ため、「自分を鼓舞する」ためなんだそうだ。勝つための英才教育を受けてきたであろう選手が、そういう思考をする不思議。画面にちょっと、自分の姿らしきものを発見したりして、それはおまけ。

男子で優勝するのは誰なんだろう。ガスケとロディックが当たったら、どんな試合をするのかな。末永く、錦織君が強くなっていく姿を見られたらいいなあ。でも、順当に強くなったら、来年は平日でも、チケットが高くなっちゃうのかも。来年の今頃、私には悠長にテニス観戦をしている余裕があるのか、それは大変心配である。

追記:1)1万人収容というので、もっと選手は豆粒状態かと思ったが、他のスポーツに比べると、かなり大きくしっかり見えた。「サーブが見えないほど速い」と聞いていたが、双眼鏡で追い続けるのは無理なほど速いモータースポーツで鍛えられているので、さほどには感じなかった。これはむしろ残念な点か。 2)テニスの試合は、セットとセットの間にしか休みがないのかと思っていたら、実際は頻繁にコートチェンジとか音楽の流れる短いお休みとかがはさまっていた。 3)松岡修造さんが、試合中に「はーっ」とため息をつくのだけは、選手に悪影響があるからやめてくれ、と言っていたので気をつけてはみたが、やっぱり抑えきれないときはあった。今後訓練しなくては。あと、個人的に、対戦相手がミスしたときに拍手をするのはよそうと思った。 4)暑苦しいという意見もあるけど、試合の合間の松岡修造のおしゃべりは結構面白く、また「ここが見所」と噛み砕いて解説してくれるので参考になった。各選手の紹介で、長所をほめるのはまあ当たり前として、特に外国選手の欠点の指摘がちょっとどうかと思うほど容赦なかった。遠目にも容姿がよく目立った。「ケイ」の出現を心から喜んでいる感じだった。 5)『錦織 圭 フィフティーン・ラブ』発売中らしい。さすがに買うかどうかはわからないが。